店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
番組では、女性が電話で高い声を使う理由を、「体を小さく思わせたいから」と結論づけております。「体が小さい=力が弱い、危害を加えない、無害」というイメージで、電話の相手に安心感を与えようとしているのだということらしいのです。
番組はさらに突っ込んで、海外では、この「女性が高い声で電話する」という現象はほとんど起こらないことを伝えております。そこで、低い声と高い声でどんなイメージを抱くか、番組が実験した結果がチョイト興味深い。
日本人の「高い声」へのイメージは、「若い、シャープ、人当たりが良い、感じ良い」といった好印象。逆に「低い声」は「怖い」というイメージ。25人のアンケートで、ほぼ全員の23人が「高い声の方が良いと答えております。
では次に、欧米人の場合。「高い声」のイメージは、「金属的、機械的、若い印象、カワイイ、典型的な日本人の声」というもの。「低い声」は「丁寧、プロフェッショナル、成熟」というイメージを感じております。低い声に票が集中するかと思いきや、12対13のほぼ引き分け。日本に来ている観光客へのインタビューでしたから、日本的な声に理解のある人が多かったのかも知れません。
で、番組は、「欧米人は低い声で自立した大人であることを示し」、「日本人は高い声で相手への従順性を示してコミュニケーションを円滑化している」と結んでおります。まぁ、日本の女性の場合、「若く見られたい」という意識が十分に働いている可能性は否めないのですけどねぇ。
さて、ここまでは、ほぼ番組内容の書き写し。ワタクシ、この番組を見ていて、ちょっと思い出したことがございます。演劇の勉強をしていた頃、「高い声ほど説得力が無くなる」とよく言われたのでございます。それで、出来るだけ声の低いポジションでセリフを話せるような訓練をしていたものでございます。
この「高い声ほど説得力が無くなる」という性質、欧米人の高い声へのイメージと合致するのでございます。でも、この説得力を失う高い声を、日本人は「よそいきの声」「ハレの声」として、コミュニケーションの要として使っている。ここにね、番組では省略されたのでしょうが、日本人の「距離感」の取り方が影響していると思うのでございます。
これが、日本は真逆。不用意に間を詰めて来る人に、日本人はすごく警戒する。ほどほどの距離感で、一歩下がるというか、謙(へりくだ)って接するのがコミュニケーションの基本とされている。それで、馴れ馴れしい低い声が敬遠され、たとえ説得力を失おうとも高い声でのコミュニケーションが定着しているのだと思うわけでございます。
こう考えると、日本人のコミュニケーションは、上ずった高い声で説得力の無い会話を交わしているということで、そりゃぁ欧米人から見たら「日本人は何を考えているのか分からない、曖昧」と言われるのも無理ないのでございます。