店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
さて、2日目。やはり朝の9時ちょうどに、お店のドア ホンが鳴るのでございます。いらっしゃったのは、ちょっと年輩、と言うか、おじいさんの職人さん。これから床を張る作業の、前処理をやりに来たのでございます。他の職人さんは、少し遅れていらっしゃるのでしょう。
お好み焼きのコテを3回りほど大きくしたガッシリした様な道具で、床を擦っていきます。デコボコになっているところをこそぎ落とすしております。普及価格のフローリングってのは「複合フローリング」というやつで、合板の上に木目シートが貼っただけの「見かけフローリング」でございます。当店の床も、その複合フローリング。表面の痛んだ木目シートをガリガリと落とすのでございます。
その作業が一段落しますと、次は床張りでございます。今回使用するのは「クッションフロア」という種類の物。ちょっとクッションが有って、ロール状に巻いてある、ごく広く使われている床材でございます。コレとは別に「フロアタイル」というものもございます。実は、今回、クッションフロアにするかフロアタイルにするかで、迷ったのですよね。
実は、フロアタイルは2号店で使っております。石張りのような出来上がりになるので、非常に高級感があるのでございます。ただね、使い始めてから分かったのですが、濡れた足で歩くと、これが実に滑る。ツルツル滑る。当店の場合、必ずしもお客様にスリッパを使ってもらえるとは限らない。ちょっと心配な面があるのでございます。
ということで、クッションフロアに決定! このクッションフロアにも「普通の厚み」と「厚手」の二種類がございます。よく使われてるのは「普通」のもの。種類も柄も多く、一般家庭や店舗でクッションフロアと言えば、まずこの普通の厚さのものでございます。
だが、しかし、ワタクシが選んだのは「厚手」の方。選べる柄の選択肢も少なめで、「柄で遊ぶ」というのはほとんど無理。オーソドックスな柄の物しか無いのでございます。実は、当店のフロントが無い方のフロアには、この「厚手」のクッションフロアを利用しております。歩いた感じが少し柔らかく、振動や防音にも向いているのでございます。
けれど、この「厚手」のもの、職人さんがめっぽう嫌がります。施工が大変らしいのでございます。特に冬場だったりすると最悪! 職人さん、ロール状のクッションフロアをドライヤーで暖めながら開き戻したりしておりました。当時、よく気心の知れた若い職人さんが、「お願い、二度とこのクッションフロアは選ばないで!」って懇願されたくらいでございます(笑)。
今回は、まだ気温が高い時期ということもあり、それほど大変ではなかった様子でございます。ただ、ビルの長い廊下に目一杯クッションフロアを広げて裁断しているのを見て、「あぁ、人の出入りがない日曜日で良かった」と思ったものでございます。
大まかに床に広げて、裁断をしたら、床に接着剤を盛大に塗りまして、クッションフロアを貼っていくのでございます。つなぎ目には上から別の接着剤を流し込んでピッタリ接着。こういうの、つなぎ目が全く分からなくなる様に上手に貼ってくれます。職人さん、ありがとう。
クッションフロアはロール状の長いものですが、フロアタイルというのは文字通りタイル状の正方形の形をしております。2号店の施工時に気がついたのですが、廊下のちょうどまん中につなぎ目が来ない様に、職人さんはまず中心のタイルを決めてから両脇の方へと貼って下さります。
作業的には、廊下の両端が端切れになりタイルの切断回数が2倍に増えちゃうので大変なのです。が、出来上がると、これが気持ちのいい出来上がり。タイルの目地がシンメトリーに揃うわけでございます。さらに、「畳の縁を踏まない」ではございませんが、廊下のまん中を歩く際、つなぎ目を避けて歩けるという気分良さもございます。
そんなこんなで、本日の作業も順調に進みまして、フロントのある部屋の廊下、そしてVIPルームの床、すべて午後3時には完了。出来上がり確認も済ませ立ち去ろうとする職人さん達を拝み倒し、ワタクシ一人では動かせない重たい物を運んでもらったのでございます。せっかく新品のクッションフロア、ものを引きずって傷つけたくないですものね。