店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
ワタクシ、20代中盤で、一度ニューハーフをやめていた時期がございます。舞台を目指すなんて血迷ったことを考えまして、3年弱、レッスンに明け暮れる日々を送っておりました。そのちょうどやめていた時期に放送されていたのが、アニメ『ちびまる子ちゃん』(第1期)だったのでございますよね。
そんな時期の或る日、水商売の頃のお客様に連れられて、名古屋郊外の飲食店に連れて行ってもらったことがございます。その飲食店というか居酒屋、郊外にあるにも関わらず毎日大盛況。そこの店主の親父が毎日コミカルなショーを行うというので、当時話題になっていたお店でございました。
そこへ遊びに行ったとき、ショーの最中に、ワタクシ、舞台に引っ張り上げられちゃったのでございます。ショーの余興のひとつだったのですが、根っからの舞台根性に火がついちゃいまして、ワタクシ、舞台の上で、踊るわ、回るわの大立ち回り。ニューハーフのサガでしょうか、舞台に上がって照明を浴びると、自然に顔が笑顔になる。その笑顔、店主の親父がたいそう気に入っちゃったのでございます。
お会計を済ませて帰ろうとした際に、その店主の親父に呼び止められたのでございますよね。「俺の弟子にならないか」とのこと。普通、教えを請う者が「弟子にして下さい」というのはよくございますが、師匠の方から「弟子にならないか」とはチョイト面食らったのでございます。
よほど気に入られたのか、あるいは、よほど後継者に困っていたのか分かりませんが、飲食店の従業員としては破格の条件を示していただきました。ほんの数ミリ、心は動きましたよ。でもねぇ、その時期、ワタクシ、いろんなオーディションを受けて落ちまくっていたのでございます。なんか、自分が敗残者になるような気がしたのでしょうねぇ。丁重にお断りしちゃいました。
お話が大立ち回りになっておりますが、ワタクシがそのお店で踊るわ回るわしたときに流されていた曲が、『ちびまる子ちゃん』の主題歌、『踊るポンポコリン』だったのでございますよね。今から思えば、人生の重要な選択をしたような気がいたします。それゆえ、『踊るポンポコリン』には、ひときわ思い入れが有るのでございます。