店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
というもの。ワタクシ、これをオープン当初はやっておりましたが、ある時期から「やらない」というポリシーで今に至っております。「あれ? どうしてやらなくなったんだっけ?」と疑問に思いまして、今、これを書いております。
「やらない」というのが自分の中で様式化してまして、その理由なんてとっくに忘れておりました。思い返しますと、その理由は、「必ず出来るわけではないから」ということ。やることのプラスより、やれなかった時のマイナスの方が問題だからでございます。
ワタクシのこの考え方の原点は、あるテレビドラマにございます。本当に小さな頃に見た、田宮次郎がスーパーの店長をやるドラマでございます。ドラマの内容なんて全然覚えてないのですが、あるエピソードだけ、強烈に覚えているのですよね。
田宮次郎扮する店長が、レジ担当の従業員に「毎回、微笑むように」と指示を出す。レジ担当の人達は、さらにもう一歩踏み込んで、微笑みながら「ありがとうございました」と声かけをするようにしていた。それを店長が見とがめてやめさせる。その時の店長のセリフが「毎回、必ず声かけが出来るわけではないから」というもの。
このエピソードが、子供心にすごく不思議でして、脳裏に焼きつくわけでございますね。三つ子の魂百までなんて申しますが、その後、何かしらの接客するお仕事に従事する度に、このエピソードを思い出すことになるのでございます。
声かけが出来た時には、お客様は喜びますよね。でも、それが「普通」なんだと思ってしまう。では、声かけが出来なかった時、お客様にどんな印象を与えるか? 「席を外してるんだ」と単純に思ってくれる人ばかりではございません。「サービスが悪くなったな」と思わせてしまう可能性もございます。
つまり、サービスにブレがあると、良いサービスが出来た時はお客様にとっては普通、出来なかったときには悪くなったと、悪い時の印象だけが残りやすいのでございます。これは、長期的に考えるとあまり良くない。結果、「良いサービス=安定したサービス」ということになるのですよね。ですから、出来たり出来なかったりするサービスなら最初からやらない方が良い、という図式になるのでございます。
以前、コンパニオンの何人かが、自分の休憩時間を削ってまで接客時間を5~6分延長してサービスするということがございました。お客様争奪の競い合いの中で、それを自分の「ウリ」にしようと無意識にやっていたのかも知れません。あるいは、単に時間に無頓着だけだったのかも知れません。