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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2018-07-09 【Harakiri は英語の辞書にも載ってるよ】

先週の金曜日は、朝から生臭いニュースで持ちきりでございました。例の死刑執行のニュースでございます。7人同時というのが、ちょっとショッキングでございましたね。「満を持して」という語を使っていいのか悪いのか微妙ですが、満を持しての法務省の勇断でございます。

死刑制度に関するアンケートでは、なんと80%の人が死刑を肯定するという結果が出ているそうでございます。こんな数字が出るのは日本だけでしょうねぇ。「目には目を歯には歯を」のアラブ諸国の数字が気になりますが、日本ほど高い数字にはならないような気がいたします。

欧州連合が、この死刑執行にイチャモンを付けております。「犯罪抑止効果がない」というのが、その理由だとか。まぁ、最近は、「死刑になりたくて無差別に...」なんてぇヤカラが増えてますので、確かに抑止効果はないかもしれない。でも、日本の場合は、抑止効果だけで存続しているわけでななさそうでございます。

日本の場合、世界にも例を見ない「切腹」という制度がございました。日本人ってのは、この切腹を妙に美化しております。かつて、武士が切腹を命じられるというのは名誉なことだったのですよね。自分の命でけじめを付けられるというのを、最高の名誉と考えたわけでございます。

あるいは三島由紀夫のように、決意の強さや抗議を表すための切腹もございます。あの事件で、多分、多くの日本人が認識したことでしょう、「切腹はけっして過去のものではないのだ」ということを。そして、あの事件が、切腹への美化をさらに強めたような気がいたします。

「悪人正機」という語が有るように、日本の宗教観は、必ずしも「悪」を否定はいたしません。「悪人という自覚が出来るのは、善の心が有しているからだ」という考え方の元、善と悪を同列に考えます。それゆえか、たとえ犯罪者であろうともその亡骸(なきがら)は丁重に扱われるものでございます。「死をもって禊(みそぎ)を済ませた」という考え方なのでしょう。

ですので、第二次大戦の戦争犯罪人に関して、日本と海外では大きく考え方が違っているのを感じるのでございます。海外では、死刑になろうが骨になろうが、犯罪者はどこまでも犯罪者と考える。でも、日本の感覚だと、死をもって償ったのだから、それでチャラだろうと考える。この感覚の違いを認識しないと、靖国参拝のゴタゴタはいつまでも続きそうでございます。

欧米先進国では、死刑廃止論が強いように感じますが、今回の死刑執行のニュースを受け、チラホラと日本の死刑制度を指示する声を海外から聞くのでございます。これは、今回の執行がオウムというテロ組織へのものだったからでしょうね。

今、世界中の先進国がテロに怯えております。その感情から、今回の日本の処置が「テロに対する毅然たる態度」と見えたのでしょう。日本人の感覚だと、別に「テロだから」というわけではないのですけどね。まぁ、でも、今回の執行がオウム以外のものだったら、海外のそういった反応は起きなかったと思います。

この切腹文化のせいでしょうか、日本企業の責任者は、不祥事が起きると簡単に辞職いたします。辞めることで責任を取るのでしょうが、後を任された人って災難だなぁといつも思ってしまうのでございます。

政治家も大臣クラスだとすぐ辞めちゃう。まぁあの人達はどこにでも居場所がすぐ見つかるでしょうしね。逆に下っ端議員は、多少の不祥事ではなかなか辞めない。下っ端の人は辞めちゃうとその後の生活が大変なことになるので、恥も外聞も捨ててしがみつくのでしょうね。

名古屋場所真っ最中、相撲の行司も、差し違えた時に切腹で責任を取るための脇差しを腰に差しております。まぁ、実際に切腹した行司はいないのでしょうけどね。切腹文化、恐ろしやでございます。では、では。


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