店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
まずね、一番重要なこと。現在、合法的な性転換手術の対象者は「性同一性障害」のみでございます。そして、この性同一性障害というのは「先天性」であること。これ、多くの場で見過ごされている重要な事実なのでございます。
先天性ということは、思春期つまり第二次性徴よりも前に症状が出ている必要があるのでございます。ですから、十分な大人になってから急に目ざめたとかいう話、そんなのは性同一性障害ではございません。あくまでも、幼少期に、ヒゲが生えたりオッパイが膨らんできたりする前に、すでに兆候があるのでございます。
精神科医はこれを確認するために、本人だけではなく家族にまで問診を行ったりするのでございます。ただねぇ、本人の「診断がもらいたい」という願望が強すぎると、いろいろなところにバイアスがかかっちゃいまして、ついつい「もっともな」返答をしてしまいがちなのですよね。
診断を貰うための「問診模範解答マニュアル」なんてものが出回ったこともございます。あるいは、診断を貰う前に海外などで手術を済ませちゃう人なんてのもいらっしゃいます。そういう事後承諾の人には、精神科医も判断が甘くなっちゃったりいたします。
衣装倒錯には、性同一性障害ではなく他の様々な「心の病」の可能性もございます。しかし、どうも多くの精神科医は「積極的に他の心の病を疑う」という方向性は持っていないように感じられるのですよね。これは、性同一性障害という病気の歴史が非常に浅く、専門医でさえ十分な知識を持っていない場合が多いからではと、ワタクシなりに推測しております。
性同一性障害という病気は、診断を下す基準が、まだまだあやふやな状態。そして、性転換手術の可否を決める法律も、その基準がコロコロ改訂されております。流れ的には、厳しかった基準が緩くなるように改訂が重ねられております。診断の判断もあやふや、手術の可否もあやふや、そんなボンヤリした決まり事の中で、現状の合法的な性転換手術は行われているのでございます。
さらに、この問題にはもう一つの大きなバイアス(偏向)がかかっております。それは、歴史的に、「心の性を治療する」という方向性はタブーになっていることでございます。どの精神科医も、これを絶対に言い出さない。多分、言い出した途端、その人の医者としての生命が脅かされてしまう、それほどにタブーとなっているのでございます。
これはですねぇ、かつて同性愛者への差別や迫害、同性愛者を「治療」しようとした黒歴史があるからではないでしょうかねぇ。その結果、「同性愛者を”治療する”」というのは、世界的なタブーとなっております。その流れが、性同一性障害にも適応されちゃっているのでしょうね。ただ、アメリカなどでは性転換手術後の自殺者が多い事が問題になり始め、今は「心の治療」を優先する考え方も見直されております。