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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2017-10-27 【采配には、はたきという意味もございます】

右手の親指を深爪してしまい、ここ数日、困っているのでございます。親指の外側が痛むのですが、この部分、キーボードを打つときに酷使する部分でも有りまして、イテ、イテ、イテ、と思いながらキーを打っております。

3日ほど前に「冷酷な言葉を使えない長は、情に流されていく」と書いてから、ちょっとその言葉が頭の中で引っかかっております。過去に拘ってはいけないのですが、まぁ、いろいろ思い出される事も有るのでございます。

折しも、日米ともにプロ野球は最終決戦の真っ最中でございます。ダルビッシュ有とか見てて、つい、10年前のある試合を思い出したのでございます。2007年の日本シリーズ第5戦、中日対日本ハムの試合でございます。

中日の先発投手は山井、日本ハムの先発はダルビッシュ有でございました。山井が完全試合直前で交代した試合と言えば、思い出される方も多いのではないでしょうか。その交代の采配を出したのが、落合監督。当時、賛否両論が飛び交った試合でございました。

あと3人で完全試合というタイミングで、驚きの選手交代。前代未聞の大個人記録よりも、チームの優勝を優先した采配でございます。中日はその試合で無事優勝いたしましたが、その冷酷無比な采配振りに、日本中の中日ファンが恐怖したのでございます(ちょっと、大げさかな、笑)。

あの試合も、後々、山井が手を負傷していた事とか、山井自身が降板を申し出たとかいう話が出てまいりまして、チョイト微妙な展開になったのを覚えております。まぁ、それでも、落合監督の無情采配はいつもの事でしたからねぇ。

この采配ぶり、落合監督自身はどう述べているかと言いますと、著書『采配』で、

「采配は結果論。事実だけが歴史に残る」
 「正しい・間違いという物差しで考えたことはない」
 「あの場面で最善と思える決断をした」

と記されております。面白いのは、日本シリーズを制した歴代の監督さん方は、この落合監督の采配に同意していること。逆に批判的なのは、こういった采配には縁の無かった人なのでございます。日本一になった監督さんは皆、同じような「決断」で苦しまれたのでしょうねぇ。

「決断する」ということには、かなりのエネルギーを消費いたします。「1日に使える決断のエネルギー量は決まっている」なんて考え方もございます。そこで、「服を選ぶ事に貴重なエネルギーを使いたくない」と、同じデザインの服しか着ないという起業家もございます。

ワタクシもお店の長として、日々、様々な「決断」を迫られるのでございます。ただね、野球の監督さんなどが羨ましいのは、同じ決断でも、試合が終われば一度リセット出来る。あるいは、シーズンが終われば、自分の任期が終われば、その都度リセットが出来るのでございます。

先述の山井投手の采配に関しては、その試合で勝てば、そのシーズンに関してはリセットでございます。それが分かっているから、ある意味、極端な采配も取れたのかも知れません。これがね、お店の経営ですと、来月の事、来年の事、数年先の事などをどうしても考える。

その時点で最善と思っていても、後から振り返ったらはたして最善と思えるだろうか、どうしてもそう考えざるを得ないのでございます。スポーツでの采配と経営での采配とは、チョイト構え方やスタンスが違っているように考えております。

ただね、落合監督、「良い采配を下すには、孤独に勝たなければならない」とも書いております。そう、采配を下せるという「権利」を持つ者は、孤独を受け入れるという「義務」も合わせ持つのでございます。采配と孤独は、表裏一体なのでございます。あぁ、寂しいねぇ~。

と、まぁ、野球の試合を見ながら、10年も前の試合を思い出しておりました。明日はどんな決断を強いられるのでしょうねぇ? というところで、今日は締めくくりましょうか。では、では。


『采配』

落合博満著 ダイヤモンド社、¥1,500+税


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