店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
ワタクシ、遺伝性の目の病気を持っております。その症状のひとつとして、視野狭窄(きょうさく)というものが起きております。これはですね、目の見える範囲が狭いということ。ワタクシの場合は幸いながら、視野の中心部は見えておりまして、端っこの方が見えない。
目というもの、視野の中心部は非常に酷使しております。視力が一番良いのも、この中心部。そして、普通、視野の周辺部というのは「何かあるな」程度でものを見ております。ワタクシの場合は、この周辺部が見えてないのでございます。
でもですね、日常生活ではあまり不便を感じず生活出来ております。ここに、人体の神秘がございます。片方の目で見えてない部分をもう片方の目が補ったり、あるいは記憶や経験から、見えてない部分を脳が想像して「補完」するという、人工知能も真っ青な高度な処理が行われているのでございます。
あまりの脳の完璧な補完作業のため、視野狭窄のことを忘れていることもございます。で、ウカッと行動していると、半開きのドアにぶつかったり、すぐ横に立っている人に気がつかなくて失礼しちゃうなんてことになるのでございます。
さて、ここで面白いのは、網膜では見えていない視野周辺部の風景を、頭の中、つまり脳の中では「認識」しているということでございます。ほら、昨日のお話のまったくド反対。ここで危険なのは、「見えている」という思い込みでございますね。見えているのは脳が作った虚像ですから、「見えてないかも」という前提でいつも行動しなくてはならないわけでございます。
ワタクシの場合は視野狭窄の自覚がございますので、頻繁に視線を動かすことで見えていない周辺部の画像を補っております。まぁ、鳩がヒョコヒョコと首を振りながら歩いてるでしょ。原理的にはあれと同じなのかなぁ。目をチラチラ動かすことで、「見えたつもりになっている部分」を「更新」するわけでございます。