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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2017-09-18 【Blowin' in the Wind】

今日は「就業時間」のお話。近年、一般企業でも「就業時間」の定義が変わりつつあります。一方、当店の様なお店は、一般企業とはちょっと給与体系が違います。そこで、最近の若い新人さんなど、就業時間に関しての感覚の違いを感じることが少なくないのでございます。

まず、一般企業がどう変わっているか。ワタクシは普通の社会人をしていたこともございますが、昔は、就業時間と言えば「実際にお仕事を始める時間」でございました。ですから、「就業時間までに着替えを済ませる」というのが常識でございました。

今は、「制服がある場合は、着替えも就業時間に含めなければならない」というのが一般的な考え方でございます。労働者に優しい考え方でございますね。就業時間がはっきり決まっている一般のお仕事の場合は、これでOK。しかし、当店の様な「どこからどこまでが就業時間?」なんていうお仕事ですと、チョイトややこしいことになるのでございます。

当店のような業種は、「1本いくら」でギャラが発生いたします。あえて「ギャラ」という語を使いました。お仕事の受け方、ギャラの発生、こういうのは芸能界の仕組みと似ているのでございます。つまり、仕事があればお金が貰える。仕事がなければ待ちぼうけ。お店に待機していたとしても、その待機に対してはギャラは発生しないのでございます。

ここで、普通の感覚の人が、当店のような業種に入ってきたとしますよね。お店の営業時間は13時から。すると、13時に来てそれから準備を始めるなんてこともございます。終わる時も、受付終了時間の少し前に化粧を落とし始めたりなんてことも。もし入れ違いに予約が入っていたり選ばれていたりしたらと思うと、受付としてはヒヤヒヤものなのでございます。

また、営業開始の13時よりちょっと早めに来店されるお客さもいらっしゃいます。1分でも早くコンパニオンに会いたいのでしょうね。コンパニオンから「出勤してます、準備完了」の連絡を貰っていれば、当然、受付としては「お客さま、お願いします」とコンパニオンに伝えるのですが、ここで「え? まだ営業前でしょ」的な顔をされることもございます。

昨今、当店のような業種、特にニューハーフの業種は、就業時間などの扱いに関して大きな変革の時期にございます。というのも、かつてのニューハーフ業界は、体育会系の業界だったのですよね。出勤シフトがガッチリ固められておりまして、遅刻・欠勤などには高額の罰金がございました。先輩・後輩の縦社会の中で、若い人や新人は、その仕組みの中に、まぁ好む好まざるに関わらず組み込まれていったのでございます。

今や風潮は180度変わりまして、自由の風が吹きまくっております。出勤シフトは自分で自由に決められる。遅刻・欠勤にも、罰金は皆無。店内の人間関係にも、体育会系の雰囲気は微塵もございません。先ほど申しました就業時間の感覚の違いも、「この世界はこういうものなの」と押しつけるのではなく、きちんと分かるように説明する義務がお店の方にあると考えております。

この説明も、また難しくてねぇ。自由の風は「拘束されること」を極端に嫌うのでございます。「○○して下さい」と言えば、反発を買う。結果、「○○した方が、得ですよ」的な言い方をして誘導することになるのでございます。

そんなわけで、自由出勤が当たり前の時代になり、その結果、お店全体の出勤状況も不規則になるのでございますよね。コンパニオンが極端に少ない日とか多い日とかが、出てくるわけです。今の時代、お店はそういうのを受け入れざるを得ないでしょうねぇ。お店がコントロール出来ることは、かなり限られてきております。

この体育会系から自由の風への変革、うちのお店は3年くらいかかったかなぁ。逆に言いますと、3年くらい前から将来を見越して、小さな所から少しずつ改革を進めていったのでございます。罰金の廃止、ギャラの計算方法、出勤形態とか、あるいは小さなことだとゴミを捨てるルールとかにも、自由の風を吹かせていったのでございます。

まぁ、最近立ち上がったお店は、こんな変革も必要ないのでしょうね。なまじっか、古(いにしえ)の体育会系ニューハーフの時代から営業しているゆえの軌道修正なのでございます。どちらの時代が良いとか悪いとかは申しません。ただ、風に吹かれるだけでございます。では、では。


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