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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2017-07-21 【懐かしいとは、昔のものに心引かれる状態】

テレビを見ていると、チャイムっぽい音とともに画面の上部にテロップが。お馴染みの臨時ニュースでございますね。スマートフォンにニュース系のアプリを入れていると、同じような臨時ニュースがスマートフォンにも送られてまいります。ここ数日は、白鵬の臨時ニュースが賑やかだったのでございます。

ただね、大相撲の中継を見ていて、今、その記録達成の瞬間を目の当たりにしているのに、その画面に臨時ニュースが流れるというの、「いや、今、私、それ見てるところだから」とツッコミを入れたくなるのはワタクシだけでしょうかねぇ。以前から矛盾を感じておりましたが、放送システムの仕組みで変えられないのかもしれません。

相撲中継というもの、もちろん力士の勝敗も気になりますが、ワタクシにとっては環境ビデオとしての効用もございます。音声を聞いているだけで、何か落ち着くのですよね。深夜に「幕内の全取り組み」というダイジェスト番組がありますが、たまたまあの音声を聞きながら眠りにつけたりすると、もうね、それは最高の睡眠導入剤なのでございます。

会場の音声、呼び出しの声、場内アナウンス、拍子木の音、観客のざわめき、そういったものが何十年も変わっていないのですよね。その変わらない音が、ワタクシの深層心理に刻まれている記憶を呼び起こすのでございます。

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ボロアパートの一室。エアコンはなく、開け放たれた窓には青い塩ビ製のすだれがかけられ、静かに揺れている。片隅に置かれた扇風機が、首を振っている。その蒸し暑さから名古屋場所なのでしょう、テレビから大相撲中継の音声が流れております。

部屋の中には、幼少の私と、母親と、父親らしき人物。母親とその男性は相撲中継に見入り、私は何か一人遊びをしながら、退屈そうに、中継の音声、大人2人の声、そして扇風機のブーンという唸りを聞き流しております。

そんな情景の時、いつも用意されているのが、サンドイッチ。その男性の好物なのでしょう。食パンに、薄切りの胡瓜を挟み、醤油と何かで味を付けた簡単なもの。味が濃いから子供はダメと言われながらも、少し分けてもらい、なぜか、そんな簡単な料理が、とても美味しかった。

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相撲中継の音を聞いていると、必ず、こんな情景が思い出されるのでございます。思い出されるのは、この場面だけ。この場面の前後がどうなっていたのかは、全く思い出せない。そして、このサンドイッチ、母親が亡くなってから自分で作ろうとしたのですが、どうしても思い出の味にならない。醤油の他に、何を使っていたのかなぁ? 今となっては永遠の謎なのでございます。

こんな、心の奥の奥に挟まっていたような記憶がフワァと思い出されるのも、大相撲の「音」が昔と変わらないからでございましょう。大相撲の「伝統」は、大銀杏や回し姿だけではございません。その「音」も、確実に伝統を守っているような気がいたします。

世の中には、「変わって嬉しいもの」「変わらなくて嬉しいもの」がございます。年取ると、その「変わらないもの」によって、昔の思いがけない記憶が沸き上がってくることもございます。変わらないということも、また美徳ですよね。では、では。


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