店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
ワタクシは、なぜか医療ドラマには、はまっちゃうのでございます。それも、医療現場のシリアスなもの。アメドラだと『ER』、日本のドラマだと『救命病棟24時』なんてのが好きで、どちらもDVDボックスを揃えているほどの入れ込みようでございます。
『ドクターX~外科医 大門未知子』とか『DOCTORS 最強の名医』なんてのもありますが、これらは医療というよりはドタバタの方がメインで、まぁ、それほど入れ込んではいない。こういったコミカルで必ずハッピーエンドになるドラマは、リアルな医療問題を避けているため、何か他の惑星のお話のように感じちゃうからでしょうね。
それで、本日、始まったドラマございます。『コードブルー』、ドクターヘリのドラマでございます。2008年にシーズン1、2010年にシーズン2が放送され、今回はシーズン3でございます。率直な感想を述べますと、面白かった。1・2シーズンに比べて、かなり面白くなった気がいたします。
思い返せば、シーズン1が9年前でございます。ハッキリ言って、シーズン1は面白くなかった。山下智久、新垣結衣といった「時のタレント」を起用しただけの、演技二の次、話題優先のドラマでございました。山下智久は目に軽い斜視があるので、演出の仕方が難しい。新垣結衣は、まだまだ借りてきた猫のように、手足がすくんでいた。
特に、新垣結衣は非常に重要な役回りであるのに、当時のなし崩し的な演技でメリハリを欠いておりました。脚本は良い感じ、脇役陣も良い感じでドラマを固めている。でも、主演の2人が雲を掴むような演技なので、なにか入れ込めなかったのでございます。
さて、時は移ろい、シーズン2から7年のインターバルを経て始まったのが、今回のシーズン3。そして、このドラマのスタッフの最大の功績は、キャストをほとんど変えなかったこと。主題歌も1・2と同じ物を使い、「シーズン3は、確実に1と2の延長線上に存在します」という強い意志を感じるのでございます。
そして、新垣結衣がこの7年間に急成長したという事実も、大きいですねぇ。以前の顔先だけのこじんまりとした演技ではなく、自由に振り切れている。喜怒哀楽の幅が広くなり、その広い振れ幅を、力を抜いて使い切っている。こういう演技をされると、見る方としては、入れ込んじゃいますよねぇ。
新垣結衣の急成長、これには『リーガルハイ』への出演が影響しているのではないでしょうか。『リーガルハイ』での共演者は、あの堺雅人。メーターが振り切って針が曲がってしまうのではないかという演技をする人でございます。特に『リーガルハイ』というドラマでは、その振り切りようが強かった。合わせる共演者も、堺雅人の演技に引っ張られて振り幅が広くなる。いい時期に、いい共演者といっしょになったかもしれませんね、新垣結衣は。
演技というのは、動き始める時、あらかじめその逆に少し振っておくという”あざとさ”がございます。スポーツでいう「テイクバック」のようなもので、このテイクバックの大きさで演技の大きさも変わってまいります。
また、感情表現の演技では、「トリガー」なるものがございます。まぁ、トリガーってのはワタクシが個人的にそう呼んでいるだけなのですけどね。人間の感情が動くときというのは、かならず”きっかけ”がございます。何を見て、どの言葉を聞いて、といったきっかけを役者自身がどこまで細かく深く追い込めるかで、その演技にメリハリがつくのでございます。
その感情のきっかけがハッキリしているほど、台詞には出てこない登場人物の内面的な感情を、観客に想像させることが出来る。トリガーのハッキリしている演技は、台詞の情報量以上の表現力を持ち、かつ、メリハリもつけられるのでございます。