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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2017-06-16 【金曜日の夜からは、休日モード】

昨日の、食券のお話の続きなのでございます。今回は、ちょっと難しい内容もございますが、分かりや~すくお話しいたしますので、どうぞおつき合いのほどを。

今日は、「モード(mode)」というのがキーワード。ナントカモードとか、日常でもよく使いますよね。直訳すると「状態」という意味。様々な状態があることを「モーダル」、逆に状態が変わらないことを「モードレス」と言います。みんな、モードの派生語でございます。う~ん、この辺で拒絶反応が起きている方、この後はグッと優しくなりますから安心してね。

分かりやすいのは、パソコンのキーボードの「シフトキー」。通常の状態では「小文字」が入力されますが、シフトキーを押すと”大文字モード”になりますよね。シフトキーがキーボードのモードを変えているのでございます。コントロールキーやALT(オプション)キーなんてのも、同様。

で、食券の話に戻しますよ。昨日のお話では、「朝定」の食券と「ライスをおろし豆腐へチェンジ」の2枚でワンセットになっております。この「チェンジ」の食券が「朝定のモード」を変える働きをしているのでございます。

ここで、松屋の食券システムの変遷も語らなければなりませんね。定食のライスに関して「大盛り」「特盛り」というオプションがございます。これも、以前はチェンジ食券と同様に、定食の食券とは別に出ておりました。2枚でワンセットということですよね。

しかし、タッチパネル式の食券機が登場すると、画面操作の段階でライスの盛りを選択させ、大盛り・特盛りの場合は定食の食券そのものに記載する仕様に変わっております。大盛り・特盛りを選んでも、食券は1枚しか出てこないわけでございます。

この食券1枚で完結しているという仕様、これが「モードレス」でございます。実は、モードが有る作業というのは、人間のミスを引き起こしやすいのでございます。従業員の負担を軽くするため、大盛り・特盛りに関しては、この様な仕様になったのでございましょう。

食券機にも、モーダルな食券機とモードレスのものが有るのでございます。旧式のボタンがいっぱい並んでいるような食券機は、モードレス。ボタンと食品が一対一対応でございます。これだと、大盛り・特盛りは別の食券として出すか、「○○定食大盛り」「○○定食特盛り」と全て個別のボタンを用意するしかないのでございます。

食券機の進化とともに食券のモードレス化を進めておきながら、「チェンジ」のメニューに関してはモーダルな食券の仕様を残している。ここに問題がありそうでございますよね。

じゃぁ、「チェンジ」をもモードレスな食券にしようとすると、食券機は定食が選ばれる度に「ライスにしますかおろし豆腐にしますか?」と、お客に問いかけることになる。「おろし豆腐へチェンジ」を選ぶ人は少ないでしょうから、これもまた煩わしい。それで、モーダルな仕様のままに残さざるを得なかったのでしょう。

これを完全にモードレスにするには、食券機が一度全ての注文を溜め込み、「おつり」ボタンが押されたときに初めて食券をまとめて吐き出す、という仕様に変えなければいけないのでございます。まぁ、この仕様のレジスターは多いのですが、食券機となると大変でしょう。あまりコロコロ仕様が変わるのは、従業員のストレスにもなるでしょうし。

さて、ちょいと余談を。このモードという概念は、家電製品の使い勝手を大きく変えてきたのでございます。昔の家電は、ほぼモードレス。機械スイッチが多いので、ひとつのスイッチにいくつもの機能を持たせるのが難しかったからでございます。その結果、機能の数だけボタンが並ぶ。どのボタンを押すとどうなるかは一目瞭然。昔の電話機、洗濯機、ラジカセ、テレビ等等等、思い出してみて下さいませ。

しかし、家電の中にマイクロコンピュータが内蔵される時代に入りますと、どんどん機能が増えていく。しかし、ボタンを増やしたくはない。そこで、ボタンが「モーダル」になってしまうのでございます。ひとつのボタンが、状況(モード)によって違う動作をしてしまう。これに付いてこれないと、「最近の家電は使い方が...」と悩む結果になるのでございます。

さらに余談を。Windows パソコンのマウスは、当初から2ボタンでございます。Windows よりもちょっと早く生まれた Macintosh パソコンのマウスは、Windows 登場後もかなり長い間、頑なに1ボタンのマウスに固執しておりました。これも、Macintosh の思想がモードを嫌っていたからでございます。「ひとつの動作に2つの意味があってはならない」という考え方でございます。

いやぁ、また長くなっちゃいました。お付き合いありがとうございます。接客業は、お客さまに合わせて臨機応変、モード切替の連続でございます。ここに接客業の特殊な難しさが有るのかもしれませんね。では、では。


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