店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
トランジスタという電子部品の型番でございます。子供の頃に自作ラジオや電子工作をした人にとっては、超メジャーな部品の型番。そういえば、タモリさんが真空管の型番に詳しいですが、やはり子供の頃に真空管ラジオとか自作したのでしょうねぇ。
さて、この「2SB56」というトランジスタは、ゲルマニウムトランジスタという種類の部品。電子回路に興味のない方には退屈かもしれませんが、チョイトお付き合いを。このゲルマニウム型のトランジスタは、現在ほとんど生産されておりません。現在はシリコンを使ったシリコントランジスタに置き換わっております。
朝ドラ『ひよっこ』のシーンでは、調達の都合でしょうが、ところどころ現代的な部品が登場しております。今ではプレミアが付いて高額になってしまったゲルマニウム型は画面には登場せず、もっぱら安価なシリコン型トランジスタが大量に小道具として使われているようです。
ここでですね、ちょいと、トランジスタの実物を知っている人には「ニヤッ」とさせられるエピソードがございます。主人公のみね子が、生産ラインで、頻繁にトランジスタの向きを間違えたり「足」と呼ばれる針金を曲げてしまったりするのでございます。
ゲルマニウム型は、金属の円筒形のケースから細めの三本の針金が出ている形になっております。『ひよっこ』の年代ですと、使われているのはほぼ間違いなくこのゲルマニウム型。円筒形で向きが分かりにくく、しかも三本足が三角形に配置されており、細い針金は曲がりやすく、基板に指す際に向きを間違えたり足を曲げてしまうというのは、よく分かるお話でございます。
一方、画面で使われているシリコン型は、かまぼこ形の樹脂製で三本足も固めの針金が一列に配置されております。こちらは、向きを間違える心配は少なく、程よく扱いやすく、足の針金もよほど力任せに押し込まない限り曲がるようなものではございません。
まぁ、ドラマの流れには全く関係のない雑知識。電子工作の際、実際に向きを間違えて半田付をしてしまい、後から外して付け直すなんて体験のある人が、ニヤッと出来るエピソードでございますね。熱に弱いトランジスタをコテの熱で壊してしまい、ベソをかいたのは懐かしい思い出。
その当時の言葉として「トランジスタガール」という語がございます。「トランジスタグラマー」という語が別にございますが、こちらは(トランジスタの様に)小柄でスラッとした知的な女性を称した言葉。トランジスタガールは、当時のトランジスタ工場で働く女性達を指した言葉でございます。
ゲルマニウム型のトランジスタは、小さな缶の中で、小さな小さな金属片に、小さな小さな小さな針が接触しているという構造になっております。当時、女工に顕微鏡が用意されるはずもなく、多分、虫眼鏡程度の機材で、「手作業で」この部品の調整をしていたはずでございます。
この非常に細かい作業に女性が向いているということで、当時のトランジスタ工場では大勢の女性が働くことになったのでございます。この女性達が「トランジスタガール」と呼ばれた訳でございます。女性が働くというのが珍しい時代でしたから、ことさら注目されたのでございましょう。
今の世の中、LGBTとか言われて、男と女の区別や敷居を無くす傾向が強くなってまいりました。この傾向にはふたつの流れがございまして、「心の性に従って、正しく分けよう」という流れと「敷居を無くして混ぜてしまおう」という流れ。どちらの流れもまだ過渡期で、いろいろ問題を抱えております。