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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2017-04-18 【向こう側の電車が逆に動くと、自分の電車が動いて感じるみたいな】

お店のフロントでクーポン券を使われる際、スマートフォンや携帯電話でそのクーポン画面を見せて頂いております。それで、チョイト気になったことがございます。スマホ等の操作を言葉をかけて誘導するのでございますが、「画面を上に/下に」という指示が、なかなか上手く伝わらないのでございます。

お客さまが操作するスマートフォンを上から覗き込みまして、画面のもっと下の方を見ていただきたくて「もう少し下です」と言うと、画面を下にグイッと下げてしまい、見えてくるのは逆の上の方。ワタクシが意図した方向とは逆に動かす方が、少なくないのでございます。

これに関しては、言い方をいろいろ変えて試しているのですが、なかなか決定打が見つからない。想像するに、これにはパソコンからスマートフォンへの進化の過程で、その操作の仕方が変わっていく中で、仕様変更に人間様が振り回されているからでございます。

ノートパソコンにおいて、トラックパッドが今や当たり前の装備になりました。あれって、二本指で上下に動かすと、画面をスクロール出来ますよね。あの動かし方の方向に、非常に興味深い事実がございます。

画面を「上」にズリズリ動かしたいとき、トラックパッドを2本指で「下」に動かします。これはWindowsの標準仕様。Macintoshも当初はWindowsと同じ方向でしたが、6年前からこれを逆にしております。つまり、画面を上にズリズリしたいときは、トラックパッドの手も上に動かすという仕様。もっとも、Macintoshでは、設定を変えることによって、この向きを逆にすることも出来ます。

さて、この指をどちらに動かすかということに世界2大パソコンメーカーが紆余曲折しているのには、パソコンやスマートフォンを使わせるときの「哲学」が違うからでございます。難しい話をヤンワリとお話しますので、付いて来て下さいね。

まず、パソコンやスマートフォンの画面を、「小さな小窓」だと思いなせぇ。その小窓から覗き込んで、向こう側の画面を見ていると想像するのでございます。では、始めますよ~。

まず、小窓から見える画面の、「もっと上の方」を見たいとしますよね。その場合、やりかたは2通り。小窓を「上」にずらしていって上の方を見るか、あるいは小窓を固定して奥の画面の方を「下」にずらしていって上の方を見るか、この2通りでございます。

さぁ、勘のいい人は分かってきましたよね。「小窓を上に動かす」やり方は、小窓から見える画面は実際には「下」方向へ動いていきます。一方、「画面の方を動かす」やり方は、動かす方向と実際の見え方は同じ方向でございます。

小窓を動かすやり方、これはWindows標準の仕様。動きと画面の動きが逆なのでございます。一方、画面の方を動かすやり方は、現在のMacintoshの工場出荷状態。これが、なぜ「哲学的」かと申しますと、「主体」が真逆だからでございます。

小窓を動かすということは、動かない画面の表面を、小窓と共に「自分」が動いていくということでございます。動くのは「自分」。一方、画面を動かすやり方は、自分は動かない。不動の自分がいて、小窓から見える小世界をタテヨコに自由に動かすというイメージでございます。

ほら、「主体」が違うでしょう。自分が動くというやり方は、これはパソコンにポインター(カーソル)が有った故の仕様でございます。「ポインター=自分の位置」という概念であり、自分が上に行こうとすれば、当然画面は下に流れていくのでございます。

では、Macintoshが6年前に仕様を逆にしたというの、気になりますよねぇ。これは、iPhoneやiPadのような「ポインターの無い操作」では、小窓を動かすという仕様は馴染みません。当然、画面を動かすという仕様を採用する訳ですが、すると、パソコンとスマートフォンで操作が逆になってしまう。操作性を統一させたのでしょうねぇ。

こんな紆余曲折ありまして、「画面を上に/下に」という言葉の受け取り方も、ひとそれぞれになっちゃっているのでしょう。まぁ、みなさん、操作性が混在する中で、上手に使い分けておりますよね。何だかんだ言っても「使えば都」といったところでしょうか。

ワタクシの大好きな、余談のコーナー。ワタクシ、シャープのZaurusから電子手帳系は使い続けておりますが、Zaurusでは、この画面を動かすという発想は全く有りませんでした。つまり、Windows系の小窓を動かすという思想しか無かった。目の付け所は良いシャープですが、「逆転の発想」までには至らなかった様ですねぇ。あるいは、すでにアップルが特許を取っていた思想なのかも? こんな想像をするのも、また楽しいのでございます。


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