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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2017-02-24 【待たせる勇気】

お店の営業が終わった後、後片付けなどをしてひと段落。小腹がへりましたので、近所の松屋へ弁当を買いに行ったのでございます。そこでの、ちょっとした出来事。

入ると非常に混んでいる。食券を買ってから気がつきましたけど、お客のほとんどが、料理待ちの人。まだ食べ始めてない。弁当を待っている人も2組くらいいる様子。急にバタバタと連続で来店してきたのでございましょう。

そのうち、厨房の中が何となく慌てている雰囲気に。男と女、2人の店員さんが、「○○が無くなった」とか言うような会話が、こぼれ聞こえてくる。ワタクシもずっと若い頃、お弁当屋さんで働いておりました。夜間、店番をしていて、よくやらかすミス、それは「炊飯器のスイッチを入れ忘れる事」でございます。多分、ご飯が無くなったのでございましょう。

お米は、まず洗米機で洗うという行程がございます。洗ったお米をネットに入れて、炊飯器に。水をきっちり計って入れる。ここで、30分ほど水に浸してから、スイッチオン! 炊きあがるとネットごと持ち上げて、保温ジャーへ移す。まぁ、最近の炊飯器ですと、いろいろ簡単になっているのかもしれませんけどね。

まぁ、とにかく、「ライス」ちゅうのは、仕込み始めてから出来上がるまでにそこそこの時間がかかる。ちょいと先読みしながら準備したりスイッチを入れたりしなければいけないのですが、急に立て込んだりしてそちらにかかりっきりになってたりすると、後の祭り状態になるのでございます。

さて、その後の松屋店内はどうなったか? 厨房で2人の店員さんが小声で相談している。そして、順番にお客さんに事情を話し、ライスが無くなった事、20分くらいかかる事を、告げて回っておりました。まぁ、ほとんどのお客が返金を希望して出て行きましたね。ごった返していた店内が、あっという間にワタクシ一人になったのでございます。

あれ? どうしてワタクシはまだ店内に? こういうときにワタクシのアマノジャクの精神が頭をもたげるのでございます。20分くらいかかると言われ、「待ちますよ」と笑顔で返事。ファーストフード店は、速さが命。そのお店が20分待てと言うなんて事態、そうそう体験出来るものではございません。これは、不運と考えずに幸運と考え、楽しむ事にしたのでございます。

また、今、ご飯を炊いているということは、ワタクシに出てくる弁当は、間違いなく炊きたてのご飯。これは、これで、ラッキー! もうね、待っている間、手持ち無沙汰でもありますので、お新香とか冷や奴とかの小物をバラバラと店内用に注文し、それをチビチビと摘まみながら待っておりました(笑)。

結局、お弁当を買いに行っただけの松屋で、50分滞在でございます。ちっとも「ファースト」ではございません。まぁ、炊飯器のスイッチの入れ忘れに気がついたときの店員の恐怖感(笑)、ワタクシも経験があり、よく分かりますからねぇ。ただ、その後の店員の対応は完璧でございました。こういう場合のマニュアルが有るのか、あるいはよくやらかすミスで店員が慣れちゃってるか(笑)。

ワタクシのお店でも、立て込むとパニクりますよ。お客さまにお待ちいただくスペースが限られておりますので。2人まではなんとか余裕。ほぼ同時に3人目のお客さまがいらっしゃると、内心、ちょいと困る。洗面室で待ってもらったり、最悪、「ごめんなさい、5分後にもう一回ドアホン押して」と言って、外で待たせてしまう場合もございます。

ここで、ワタクシがポリシーとして心掛けているのが、「待たせる勇気」。なんかドラマで「嫌われる勇気」とかありますが、あれとは関係ございません。もうね、立て込んでいるときは、こちらが腹を括るしかない。腹を括って、どうどうと、確実にゆっくりやる。この「ゆっくり」が重要。パニクって何かミスをやり、さらに待たせるという事態、この二重遭難状態だけは避けなければいけませんからね。

あと、よほど待たせた場合を除いて、「お待たせしました」は絶対に言わない。人間の心理というもの、「お待たせしました」と言われたら、待たされてなくても「待った」という気分になってしまう。だから、「すぐにご案内します」と言う。「すぐに」と言われていれば、多少待たされても「すぐに案内されたのだな」と思わせる事が出来る。

お店側が腹を据えてドッシリ応対すれば、多少お客さまを待たせる事になっても、「これがこの店の通常の流れなんだ」という印象を与える事が出来るのでございます。逆にお店がアタフタしてしまうと、急いで案内してもお客さまに結局不安感を与えてしまう事になる。

ここで、ポイントがはっきりしてまいりました。実際にどれだけ待たせたかという”物理的”な時間はあまり関係ございません。それは、心理的要素で長くも短くも感じられるからでございます。キモは、「安心感」。安心感を与える事で、「お客さまは待てるようになる」のでございます。

まぁ、いつも店番をしていて思うのは、なぜかお客さまは同じタイミングで来店される事が多い。また、電話が重なる事も多い。ひっきりなしに人が出入りしたり電話が鳴りっぱなしということでもございません。それでも、重なる。もうね、お客さま同士が示し合わせてワタクシを困らせようとしているなんて冗談で言うときもございます。そんなことは、有るわけ無いですけどね(笑)。

今回は、松屋のアクシデントから、「待たせる勇気」のお話でした。では、では。


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