店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
毎日新聞に、西原理恵子さんの『毎日かあさん』という漫画が掲載されております(毎月曜朝刊)。本日の漫画は、「標的」という題名でございました。幼少期の西原さんが、イジメの標的にならないように逃げ回っていたというお話でございます。
ワタクシは、以前、「○○だということだけで、一切批判出来ない」というお話をいたしました(2016/10/9)。被災者だということで、病人だということで、批判しちゃいけないという風潮がある。この風潮は、イジメに対してもあるのではないか、そう思うのでございます。
「いじめられる側にも問題がある」とは、よく議論に上がること。ある程度の割合の人がこのような認識を持ちながら、この件に関しては追及しちゃいけないという風潮がございます。でもね、あまりこの件を迂回していると、それは逆に問題の本源を見失うという気もいたします。
いじめられている人に対し、「どうして逃げないの?」「どうして叫ばないの?」という問いかけは、簡単でございます。しかし、その簡単なことが出来ないから、当人は泥沼にズブズブとはまっていくのですよね。いじめられる側の泥沼からはい上がる能力に言及することも、いじめ問題にとっては重要だと思うのでございます。
ここで、いつも気になるのは、「どうして、親は気がつかなかったの?」ということ。一番身近にいる親が、どこかで気づいて助けられなかったかということ。違う言い方をすると、「どうして、本人は親に相談できなかったのか?」ということ。
子供さんを自殺でなくされた親御さんには非常に厳しい言葉になるかも知れませんが、イジメによる悲惨な自殺を防ぐためには、学校やいじめた人を責めるだけではなく、いじめられていた人と親御さんとの「親子関係」も追及・分析する必要があると思うのでございます。
どうして親に相談できないのか? 親に余分な心配をさせないため? でも、そんな余裕がある子ならば、自殺にまで追い込まれないかも。自尊心? トラブっている自分を認められない? 悟られたくなかった? 親や家庭が逃げ込める場所になっていなかった? 孤立していたの? こういったことって、アンタッチャブルになってますよね。
長年いろんな新人さんを指導して来て、チョット思うことがございます。時々、失敗談や苦労話を全く出来ない人がいるということ。特殊なお仕事ですから、最初はいろんなトラブルが噴出するはずなのでございます。それでも、涼しい顔で平静を装い、失敗や苦労を全部自分の懐で処理しようとしてしまう人がいらっしゃいます。
指導する側としては、「あ〜あ、失敗しちゃった」とか「も〜、あのお客さん、ナンタラカンタラ、プン、プン、プン」とか言える人は、非常に安心なのでございます。ガス抜きも出来ているし、問題点もはっきりしている。本人にストレスが溜まらない状態で、適切なアドバイスが出来る。
一方、全部自分の中に溜め込むタイプの人は、問題点が表面化してこない。それでいて、本人はストレスを溜めまくる。アドバイスをしたくても、本人が自尊心という城壁の中に入ってしまい、頑なに門を閉ざしている。こういった人は、少しずつ信頼関係を育てていき、長い目で育てる必要がございます。
お話をイジメに戻しましょう。イジメは人間の本能ですから、未来永劫なくならないでしょう。そして、イジメの「標的」になる可能性は、全ての人にあります。重要なのは、ロックオンされた状態から抜け出せるかどうか。抜け出せる人は、逆にいじめる側に回るかもしれません。一方、抜け出せない人は、それが時として悲惨な結果に結びついてしまうということも。
いじめ問題は複雑なので、簡単な言葉では言い表せないでしょう。ただ、いじめられている人、あなたは自分の性格に原因の一端がある可能性があります。「逃げ出せる人」「叫べる人」「相談できる人」。ほんのちょっとずつでもいいから、そういう人を目指してください。
そして、子供さんをお持ちの親御さんは、子供さんが幼少の頃から「人生、失敗が当たり前」という気風で、気楽に失敗談や苦労話が出来るお子さんに育てられるとよろしいのではないかと思います。まぁ、子供を産んだことも育てたこともないワタクシが、実におこがましいことを申し上げているというのは、重々承知しております。
毎日新聞「かあさんマンガ」
http://mainichi.jp/kaasan/