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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2016-10-17 【低報酬を「美徳」と簡単に考えてはいけないのでございます】

さて、今日はお給料のお話。と言っても、当店のお話ではございません。今の人、小池都知事のお給料のお話でございます。

名古屋の河村市長のときも、ケンケンゴウゴウの大騒ぎ。一方、東京都の方は、異論は出たもののスンナリと話が進んだようでございます。こういったお話にも、いかにも日本らしさというのがあるのでございます。

アメリカですと、企業や政治のトップが低報酬で従事するというのは珍しくない。それには、宗教的な原因がございます。アメリカは、9割以上がキリスト教徒。キリスト教では、「与える」というのが最高の喜びであり名誉なのでございます。

ですから、社会的に地位のある人は、何かしら「与える」ことによってその至福を得ようとする。宗教的な基盤がございますから、それを「偽善」とか言う人もいない。むしろ、「与えられる人になる」というのは、一般人にとっては人生の目標ですらあるのです。

日本の企業ですと、福利厚生費というのはもっぱら社員のために使われる。会社外部のことに使ったりいたしますと、組合とか株主とかと揉めることになるのでございます。これは集団主義の日本的な行動。集団の和を乱す行為は、悪として判断されるわけでございます。

アメリカの企業では、企業が図書館などの公共の機関に寄付をするというのは当たり前。社員のためではなく、地域住民のために何かしらの設備を企業が作るというのもよくあること。やはり、キリスト教という下地がありますので、名誉なことと喜びこそすれ、非難などはしない。

お話を、都知事の給料に戻しましょうか。個人主義のアメリカでは、組織のトップがたとえ給料をゼロにしようが、その下位組織は文句を言わない。一方、日本ですと、都知事が給料を下げて議員との逆転現象が起こると、それは「集団の和を乱す行為」として糾弾される。和が乱れた結果、自分たちの給料も下げられるのではないかと危惧するからでございますよね。

ここで、経済学のある理論が、関わってまいります。「効率賃金仮説」というものでございます。不正を働かれては困る様な職種では、あえて高い賃金を払って賄賂などの不正を防ぐ賃金の与え方でございます。不正が発覚すると高収入を失うことになり、それが不正の抑制に繋がるという理論でございます。

ワタクシは、トップの人が半分にする、ゼロにする、それは自由だと思っております。トップの人の行動は、経費削減とは別に「心意気」的なアジテーション効果があるからでございます。一方、不正や誘惑から守らなければならない議員は、ことさら高めの報酬を支払っても構わないというのが、ワタクシの考え。「逆転」にことさら拘って報道する日本のマスコミも、こういう観点を持って欲しいものでございます。

ちょっとお話がそれますが、関連したお話。「官僚の天下り」という問題がございます。法律を作っているのが実質的には官僚ですから、その官僚が自分たちに都合のいい法律を作ってしまうというのは当然のこと。それを世の中は、弾劾してしまう。しかし、ここで思い出したいのが、やはりアメリカのメジャーリーグの年金制度。

メジャーリーガーは、5〜10年以上の登録があれば、60才以降死ぬまで年金が受けられるのでございます。その額が、かなり大きい。物価スライド変動ありで年間2000万円程度というから驚き。これなら、現役時代から悠々自適の老後が保障される。プレイに集中できますでしょうし、八百長などの不正の抑制にも貢献しているはずでございます。

ワタクシは、優秀な日本の官僚も、メジャーリーガーのようなものだと思っておりますよ。誰でもなれるわけじゃない。学生時代からそれなりの努力をして登りつめ、星の数ほどいる競争相手の中から生き抜いた人達ですからね。そういった人達が、老後でちょっと美味しい思いをするのは、ワタクシは悪いことだとは思いません。むしろ、それを弾劾するというのは、優秀な官僚が日本から逃げていくことに繋がり、日本の国益にとってはマイナスだと思うのでございます。

そこで、年金制度でございます。メジャーリーグ式に、ちょっと高額の年金を早い段階で保証してやるのでございます。もちろん、業績の高い官僚ほど、たくさんもらえるようにしてやる。退官後にそこそこの収入が保証されておりましたら、誰も天下り先の確保に労力を注いだりしないでしょ。こんな年金制度はいかがなものでしょうか?

名古屋でもそうですが、毎年の様に議員報酬の議題で時間を浪費してしまう。あぁ、無駄、無駄。こういったものは、個人主義でいいのではないですか? 日本の集団主義は、日本人らしさの良い面が出るときもあります。しかし、時々、個人主義でスムーズに話を進めることも、よろしいのではないでしょうか? では、では。


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