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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2016-10-05 【囲師必闕、窮寇勿迫】

名古屋の、とある鋳物メーカーの鍋が、世界的に大ヒットしております。「バーミキュラ」という商品名の鍋でございます。なんでも、水を使わずに調理が出来るとのこと。その秘密は、0.01ミリという鍋とフタの隙間の精度にあるそうでございます。微少な食品のカスとか付いたら、すぐに精度が失われそうですが、そこにはいろいろ企業秘密があるのでございましょう。

逆に、あえて隙間を多くする場合がございます。工学用語で「アソビ」というものでございます。車のハンドルやブレーキなど、あまりガッチガチに反応してしまうと、かえって運転しづらいのでございます。小さな挙動や部品の変形などがあっても、そのアソビ部分で吸収する働きがございます。

さらに、「アソビを作る」という意味では、こんな言葉もございます。

【囲師必闕、窮寇勿迫】
  囲師(いし)には必ず闕(か)き、窮寇(きゅうこう)には迫ること勿(なか)れ

孫子の兵法からの言葉でございます。「相手を追い詰め過ぎず、必ず逃げ道を与えておけ」という戒めでございます。この「逃げ道」は、ときには言葉通りの逃げ道であったり、そしてときには相手のプライドであったりいたします。完全に打ちのめすというのは、かえって相手から恨みを買うことになり、「戦わずして勝つ」が理念の兵法らしい戒めなのでございます。

さて、東京都知事の小池さん、豊洲の問題では、退職者も含めて責任者を全員洗い出し、懲戒処分などの対応をするとのこと。ちょっと、追い詰め過ぎてはいませんかねぇ。小池さんの心意気は十分伝わっておりますので、ここらで落としどころを探すべきだと思いますよ。そんなにノンビリしていられませんしね。準備の遅れたソチやリオのことを、笑えなくなっちゃいますよ。

とくに総括責任者もなくみんなで寄って集(たか)って作業する様子を、ワタクシは個人的に「お祭りの準備」と呼んでおります。お祭りの準備ってのは、配置や段取りなど特に指示をしなくても、坦々と進んでいくものでございます。毎年のことですから、みんなが完成型や流れを熟知している。昨日申しました「相互作用」で、準備する人全員が周囲を見回しながら、バランスを取って行動しているからでございます。

豊洲も、どうやら、総括責任者がいない様でございますよね。それこそ、みんなで寄って集って作っていった感じがいたします。ただ、不幸だったのは、誰の脳裏の中にも、しっかりした「完成型」の姿がなかったこと。その場その場で「これはこんな感じでいいんじゃね?」的に進んで行ったのでしょうか? 砂糖の塊に群がる蟻の行列でさえ、もうちょっと組織立っていると思いますけどねぇ。

経営や商売も、孫子のこの教えは重要ですよ。商売相手を、あまり敵視しすぎてはいけない。多店舗が共存している事で、その地域に顧客が集まるということもございます。また、経営者と従業員の関係も同じ。ギッチギチに管理すると、従業員は窒息してしまいます。適度に緩め、適度に騙されてやる。そうやって、従業員の息抜きをさせる事も重要でございます。

小池さんと蓮舫さんの一騎討ち、なかなかの見物でございました。それぞれ、今を代表する女史でございますし、どちらも芸能界経験者ということもあって、度胸が据わっております。見ていて、歯切れ良く、小気味良い。ただ、女性ってのは執念深いですからねぇ、どちらの女史も、落としどころを見誤らなければよろしいのですけどね。では、では


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