店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
大変衝撃的なニュースが、舞い込んでまいりました。なんと、この度、名古屋が、「魅力に欠ける街」アンケートで、堂々の第1位を獲得したとのこと。しかも、東京、大阪、福岡といった主要8都市の中で、ぶっちぎりの首位獲得とのこと。ここでご注意。「魅力的な」ではなく、「魅力に欠ける街」でございますからね。お間違えのないように。
こういうのは「統計のマジック」が入り込みますから、調査方法が気になるところでございます。主要8都市に「在住している人」3300人に対し、「自分の住んでいる街に対して」、「愛着度」「誇り度」「知人への推奨度」をアンケートしたようでございます。つまりこの順位は、「世間一般の評価」ではなく、「その街に住んでいる人が、自分の街をどう評価しているか」なのでございます。
ほ〜らね、やっぱり「統計のマジック」が入り込んでいる。ですのでこのアンケート結果は、「名古屋人の奥ゆかしさ」を表しているに過ぎないのでございます。「他の街を差し置いて自分の街をことさら自慢するなんて、そんな下品な事は出来ませんよ」という、名古屋の素晴らしき「気品」が現れている、実にいいアンケート結果なのでございます。
まぁ、ちょっと統計の取り方と結果の発表に「意図」を感じはいたしますが、おおむね、間違ってはいないと思います。他の都市に比べると、名古屋は圧倒的に魅力に欠けるのは事実だと思っております。これには、まず、歴史的な原因もあるでしょうねぇ。東京、大阪、京都のように「都」を経験してきた都市は、その時期に文化が飛躍的に変革し垢抜けいたします。それを経験していない名古屋は、垢抜けせず、田舎くさいままで現在を迎えてしまっているのでございます。
ワタクシはこれを、「名古屋のガラパゴス化」と呼びたいですよねぇ。最近はガラケーが再人気の様子。ガラパゴス化、いいじゃないですか。このガラパゴス化の影響でしょうか、名古屋の商売には独特の因襲がございます。「よそ者を警戒し、仲間内の結束を重要視する」といった風潮があるのでございます。このため、新規参入が難しく、逆に仲間内に入ることができると、今度は固い結束で安泰という、そんな商売の仕方で地域産業を守ってきた経緯がございます。
名古屋では「無借金経営」が多いのも、それが一因でしょうか。リーマン・ショックなどでも、名古屋は影響が軽微でございました。その様な経済的な安定性もあって、名古屋の人は、あまり外へ出て行きません。ず〜と名古屋に住んでいる人が多い。これが、名古屋人を「井の中の蛙」にしている要因のひとつかも知れませんね。井の中の蛙、ちょっと悪いイメージに取られかねませんが、ガラパゴス化を賞賛しているワタクシといたしましては、むしろ大事にして頂きたい名古屋の特徴だと思っております。
さて、ワタクシは東京でもお仕事をしておりましたので、こと飲食店・風俗店に関してですが、東京と名古屋を比較してみましょうか。東京は、圧倒的に地方から来た「一見(いちげん)客」の割合が多い。ですので、リピーターにすると言うよりは、奇抜さや目新しさで目を引き、いかに広く浅く集客するかというのがポイントになったりいたします。
一方名古屋は、地元の常連客の割合が高い。一見のお客様は、割合的には少ないのでございます。徹底的に比較検討してからの来店ですので、注文が厳しい。ここに「名古屋は商売が難しい」と言われるゆえんがございます。また、店舗側から見れば、絶対数の限られたお客様を取り合う状態ですので、競争が非常にシビアになるのでございます。
名古屋で一見さんが少ないのは、出張で来られた方が名古屋で泊まることが少ないからでございましょう。これは、東京や大阪からの交通の便が良すぎるというのも影響しております。名古屋で用事を片づけて、その日のうちに帰る。あるいは、用事を片づけて、次の目的地に移動してから泊まる。そんなパターンが多いようでございます。コンサートなども、以前は「名古屋飛ばし」が多かったですからね。「東京・大阪・福岡」というのが定番。これも、交通の便の良さが、影響していたのでしょう。
いろいろ言われる名古屋ですけど、名古屋を語るときには、岐阜・三重を合わせて語らなければ片手落ちなのでございます。それは、昔から、この東海三県が三位一体で発展してきたからでございますね。飛騨高山、伊勢といった観光地が、名古屋を「ハブ」として成長してきたことは間違いございません。名古屋という交通の要所が、観光地には必要不可欠だったのでございます。
逆に、名所に欠ける名古屋は、そのような観光地のイメージに相乗りして発展してきた経緯がございます。名古屋飯のいくつかは、岐阜や三重が発祥だったりするのですよね。「ちゃっかり名古屋」の本領発揮とでも申しましょうか。岐阜・三重と愛知名古屋のそれぞれの良さが相まって発展してきたのが、東海三県なのでございます。