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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2016-07-04 【変えない勇気、変える勇気、どちらも同等なんです】

『ビッグコミックスピリッツ』という漫画雑誌がございます。ワタクシは『ビッグコミックオリジナル』派でございまして、スピリッツは一度も購入したことがございませんでした。が、しかし、この度、初めての購入。それには「日本国憲法全文」の冊子が付録になっていたからで、いや、正確に言いますと、その冊子の書き下ろしの挿絵に興味があったからでございます。

 13人の漫画家が書き下ろした挿絵、憲法とはあまり関係の無い絵柄でしたのでちょっとガッカリ。でも、逆に「憲法に則したイラスト」なんて発注を受けても、漫画家の方、困るでしょうねぇ(笑)。ですので、まぁ妥当なところなんでしょうね。

 あらためて、第2章第9条を読んでみる。第11章まである日本国憲法ですが、第2章はこの第9条しかございません。こんな大事なこと、もう少し綿密に記述しておいてくれたらと思いますが、この第9条の表記で、その後70年も、すったもんだするわけでございます。

 舞台の脚本ってのは、句読点を非常に重要視いたします。句点であるのか読点であるのか、カギ括弧の使い方、改行の入れ方、そのような脚本のあらゆる文字情報ひとつひとつに脚本家のメッセージが込められており、演技する上でのヒントとなってまいります。

 役者が台本を読み込むがごとく、この第9条も長年読み込まれておりますよねぇ。そして、あらゆる拡大解釈を交えまして、様々な考察が生まれております。そして、事態を複雑にしているのは、警察予備隊から自衛隊創設への流れが、憲法改正をせずに「なし崩し」に行われたことでございます。まぁ、アメリカジャイアンとニッポンのび太の関係では、致し方なかったところでございます。

 次の選挙は、憲法改正にも焦点が当てられております。「議席の3分の2」、これが憲法改正の第1関門、そして「国民審査の過半数」、これが第二関門。この関門の強硬さで、日本国憲法は一度も改正も修正もされておりません。先進国の憲法のほとんどが、時代の変遷に伴い、数十回の改正または修正をしているのと比較すると、日本の憲法はもはや「古典」の世界でございます。

「羮(あつもの)に懲(こ)りて膾(なます)を吹く」という諺がございます。「熱い吸い物での火傷に懲りて、冷たい酢和えまで吹いて冷まそうとしてしまう」ということでございます。昭和初期の戦争への暴走で手痛い火傷を負い、憲法改正に関しては、日本全体が「膾を吹く」状態になっている感じがいたします。

 改正したら直ちに戦争が始まる、徴兵制が始まるなんて極論もございます。しかし、現代社会の仕組みを考えると、それは有り得ないことだと思いますよ。日本国民は、そこまでバカじゃない。その様な極論で煽る人達は、日本国民の民度を見くびっていると言わざるを得ない。しかし、政治的討論でその様な極論が取りざたされるということに、「今の」日本の政治家の見識の低さを見るわけでございます。それは至極残念なことでございます。

 改正は、どんどんやればいいと思います。数学で「収束」という語がありますが、大きくブレていたものも、次第に振幅が小さくなり、ある値に落ち着く状態のことでございます。一度や二度の改正で理想像にするというのは、ムチャでございます。これは、東北震災の都市開発のところでも申し上げましたよね(1016/6/24付)。改正を何度も繰り返していくうちに、振幅が小さくなり、落としどころを見つけるということもございます。

 日本国民は、憲法改正に関して、もっと勇気を持っていいと思いますよ。冷たい酢物をいつまでも吹き続け、挙げ句の果てに食べない。そんな状態ではないでしょうか? 「変える」ということには勇気がいるでしょうが、同時に「変えない勇気」というものもございます。どちらも同様に「勇気ある行動」なのでございます。「変える」「変えない」が、もっとフランクに議論されれば良いのですけどね。では、では。

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