«前の日記(2010-10-29) 最新 次の日記(2010-11-05)» 編集

薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

2008|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2013|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2014|01|02|03|04|05|06|07|08|10|12|
2015|01|03|12|
2016|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2018|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2019|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2020|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2021|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2022|01|

2010-11-03 【「すする」という行為には、日本の悲しい歴史が】75.5kg

いや、書き込みが少し滞りまして、失礼いたしました。ここのところ、広告原稿をふたつとニューハーフファンのコラムの原稿を抱えておりまして、それに没頭しておりました。というか、原稿を抱えたぐらいで更新が滞る自分のキャパシティーの無さを痛感するしだいでございます。

痛感といえば、ここのところ腰痛に悩まされております。たぶん椅子に座っての作業が多かったためでしょうが、椅子に座っていると何ともないのですが、立ち上がったりいたしますと何かの拍子に声が出るほどの痛みが走るのでございます。柳葉敏郎さんの「固まった」って言うCMがございますよね。もうね、あんな感じ。日頃の運動不足が原因だと自戒しております。

本日の朝ご飯は、近くのスパゲティ専門店で‘あんかけスパゲティ'をいただいたのでございます。先日、NHKの『すいエんさー』という番組で「スパゲッティーの上手な食べ方」を科学しておりまして、その番組の記憶もございまして、まんまとスパゲティを食べたくなったのでございましょう。まったく、単純でございますね、ワタクシは。

そのスパゲッティの食べ方に関する講釈は別の日にお話しするといたしまして、日本式の「すする食べ方」と西洋風の「すすらない食べ方」を比較する番組では、ほとんどの番組がある重要なポイントに関して言及し忘れております。それは、食品の「温度」でございます。

日本式の「すする食べ方」は、食品の温度が関係しております。例えば、味噌汁なんてのは普通に80度ぐらいございます。そば・うどんの類もそれに近い温度。あと、○○汁と言われるようなものや鍋類・ラーメンなど、日本の大衆食はかなりの高温で食べるようなものが多いのでございます。一方、洋食のスープなどは、必ず50度以下の温度。この50度というのはタンパク質が熱で変成する温度ですので、この温度を超すと口の中を焼けずる可能性が出てくる。「すすらない食べ方」をする西洋食では、汁物が50度以上になるということは、きわめて希なはずでございます。

さて、話を日本食に戻しますが、日本食のような高温の汁物を飲む際に必要不可欠なのが、「すする」といった食べ方。汁と空気を同時に吸うという食べ方が、汁の温度が大きく下げるのでございます。もしすすらないと、口の中を焼けずることは必至。「すする」習慣が無い海外では、たとえ日本食でも汁物は低い温度で出されることが多いそうでございます。

では、なぜ日本食が高温なのかということですが、これは、日本という国が常に「飢饉」と戦ってきた国だからではないでしょうか。食物が有り余る中国のような国では、食事を残すのが礼儀というマナーがございますが、逆に日本では、「米粒を粗末にすると目が潰れる」なんてことを申します。少ない食物を何日もかけて大事に食べようとすると、当然、再加熱による殺菌が日常的になり、その結果、日本食の温度は高めなのではないか、まぁ、こんなように想像するのでございます。

そばをすする所作が西洋人から見ると「下品だ」などと言われることも時としてございますが、この「すする」という所作が、実は食べ物を大事にするという文化から発生しているのだということ、もっと注目されてもいいのではないでしょうかねぇ。


«前の日記(2010-10-29) 最新 次の日記(2010-11-05)» 編集