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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2010-07-18 チラッと光る本物の輝きが引き立てるのです

先日、「NHKでなければ作れない番組」(7/9)なんてことを言いましたが、そんなNHKらしい番組でいくつか好きなものがございます。『ピタゴラスイッチ』の「ピタゴラ装置」のコーナー。これは良いですよね。子供向けの番組なのに、子供だましじゃないところが良い。本物とごまかしを見分ける感受性というのは、子供の方が敏感なんですよね。次に、同じく教育系の番組で、『大化学実験』という番組。これが、たった10分の番組に、とんでもない予算と手間ひまがかかっている。多分、民放なら2時間のスペシャル番組にしちゃってるでしょうね。それを10分でサラッと放送してしまう。集中力の続きにくい子供にエッセンスだけを見せようという姿勢なのでしょうが、やはり子供だましじゃないので、大人が見るとドキッとするような濃厚さが伝わってくるのでございます。

もうひとつ、衛生チャンネルで『ドクターG』という番組がございます。これがまた地味な番組。出演しているのは、経験豊かなお医者さんと研修医が3人ほど。まぁ、これではバラエティー番組として成立しませんので、芸能人のゲストが数人と浅草キッドの2人が司会を務めております。内容はと申しますと、ある患者さんの発症時の再現フィルムを見ながら、その患者さんの病名を推理するという流れ。犯人さがし推理バラエティの医療版といったところでしょうか。専門用語がバンバン飛び交いまして、お医者さんの豊富な知識と記憶に驚かされるのでございます。地味ではございますが、出演者は本物の医者と研修医。取り交わされる“本物の”やり取りに知的興奮を覚えられる人でなければ楽しめない、そんなマニアックな番組でございます。

その『ドクターG』を、全くパクッた民放のドラマがございます。本日始まりました『GM〜踊るドクター』(TBS系)という番組でございます。もうね、まったくそっくり。NHKの『ドクターG』をそのままドラマ仕立てにしただけ。ただ、それだけでは気が遠くなるような地味で深刻なドラマになっちゃいますので、主人公に東山紀之を起用しまして、これが天才総合診療医で元アイドルというムチャクチャな設定。脇役に生瀬勝久や小池栄子という器用な役者を起用して、大変地味なテーマながらも、何とかドラマとして形にしようという努力が垣間見られるのでございます。

どちらの番組名にもアルファベットの「G」が使われておりますが、これは偶然ではございません。前段で「総合診療医」という聞き慣れない言葉が出てきましたが、これが今、日本の医療で欧米諸国に遅れを取っている「総合診療(General Medicine)」という概念でございます。日本の病院の多くは、患者側がまず何科の診療を受けるかを決めなきゃいけませんよね。でも、どの科を受けたらいいか判断に困るような症状もあったりするわけでございます。そんな患者を受け持つのが「総合診療科」というカテゴリー。原因のはっきりしない患者が多くの科を回され、病院内ロールプレーイングゲーム状態にならないようにするのが目的でございます。

多くの医療ドラマは、すでに診断の下りた患者を治療する過程の出来事で組み立てられているわけでございますが、この『GM〜踊るドクター』は、病名の分からない患者に診断を下すまでのドラマなのでございます。その点では非常に異色。異色だけど、たぶん盛り上がらない。盛り上げようと導入した「ダンサー」という設定が最後まで足を引っ張る、そんな気がするのでございます。願わくば、東山紀之には手加減しない本物のダンスを踊って欲しいのでございます。つかみ所の少ないドラマでも、どこかに“本物”が少し混じっていると、急に締まって見えてくるものでございます。このドラマ、まだ第1回を見ただけですが、今後の展開が(いろいろな意味で)チョット気になるドラマなのでございます。

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