«前の日記(2010-05-16) 最新 次の日記(2010-05-27)» 編集

薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

2008|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2013|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2014|01|02|03|04|05|06|07|08|10|12|
2015|01|03|12|
2016|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2018|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2019|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2020|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2021|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2022|01|

2010-05-17 お先にどうぞ

人生には、「お先にどうぞ」という“感覚”を身につける時機が、必ず訪れるのでございます。これは、長い人生の中で“1回だけ”訪れる「人生の転機」のようなものでございます。ちょっと分かりにくいですね。具体的に申しましょうか。

若い頃には、「一番になりたい」「金持ちでいたい」「幸せになりたい」といった気持ちで奮闘するものでございます。いつも他人を気にし、自分と他人を比較し、上に登りつめる事ばかりを考えるものでございます。ところが、ある程度年を取ってまいりますと、世の中というものが見えてくる。何十億という人間がいて、裕福の度合いにもピンからキリまである。視野が広くなって、隣人とばかり比較していた目が世の中全体を見るようになるわけでございます。

視野が広くなればなるほど、隣人と比較して齷齪(あくせく)することが空しくなってまいります。そのとき、下から突き上げてくる若い人たちに向かって「お先にどうぞ」と言えるようになる。自分が世の中の何パーセントの位置にいるかを気にするのではなく、自分の人生が何パーセント足りているかを考えられるようになる。俗に言う「足を知る」という感覚でございますね。

若い頃からあまり主役的な存在を得られなかった人は、この「お先にどうぞ」の感覚を比較的早く得られたりいたします。逆に、若い頃から存在感有りまくりでチヤホヤされた人は、人生の中盤以降になってもこの感覚をなかなか身につけられず、焦燥感ばかりを蓄積していったりいたします。なまじっか若い頃に突出した人生を送っていると、その後に来る転機は、かなりヘビーなのでございます。

うちのお店は居心地も良く、お客様にも恵まれ、人生のポイント切り替えをするにはうってつけで、まだ“転機”を迎えていない人には千載一遇のチャンスのはずなのですが、相変わらず今までと同じ事を繰り返し、ひとつの場所に長くとどまる事かなわず、通り過ぎていく、そんな残念な人が今まで何人もおりました。悲しい事ですね。


«前の日記(2010-05-16) 最新 次の日記(2010-05-27)» 編集