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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2010-02-04 「もう、金にはかえられない」そう思っての性急な処分だったかも(前半)

本日は大事件がございました。朝青龍の引退事件でございます。やはり、日本人と外国人との間の“ミゾ”のようなものが有ったのでしょうかねぇ。そしてまた、ニューハーフの業界にも、外国人が大勢従事しております。この業界でワタクシが得た“外国人像”をまじえながら、朝青龍の事件のお話をしたいと思います。

まず、日本人は「空気を読む民族」なのでございます。まわりの空気を読んで、その空気に似合った行動をするし、まわりにも要求する(集団主義)。その空気のことを「常識」と言い換えたりもいたします。だから「空気を読みなさい」とか「そんなの常識でしょ」なんてことを気軽に言ってしまう。一方、外国人は「個性を主張する民族」(個人主義)。他人と同じことをやるというのは、ある意味「悪」なのでございます。そこで問題となるのが、日本人は勝手に「常識=ルール」と思っていますが、外国人はそうではない。空気を読むことで自然に不文律のルールが出来上がる「不文律文化」の日本人に対して、外国人は「契約文化」でございます。守って欲しい決まり事は、きちんと文章にしてあらかじめ説明しておく必要がございます。それをやらずにいきなり「こんなことが分からないの!」とやってしまうと、「日本人はルールを後付けする、ズルイ人たち」という印象を与えてしまうのでございます。

そして、外国人に「上品」とか「下品」といった感覚を正確に伝えるのは、実に難しい。なぜならば、外国語での「上品」「下品」といった語は、動作の外観を指している言葉なのでございます。しなやかに動くとか、粗野に動くとか、見た目の違いを言い表しているだけなのでございます。ところが日本語の場合は、この「上品」「下品」といった言葉は、人の心(精神)を洗わしている。まず「心ありき」なのでございます。ですから、外国人に「上品な立ち振る舞い」というものを会得させる場合は、精神論を説かず、出来るだけ具体的に動きを説明してあげるのが、いちばんの近道でございます。外国人の場合はそれで何となく形になる。ところが同じことを日本人がやると、いっぺんに“お里が知られて”しまうのでございます。これは、日本人に「上品さ」と「心(精神)」を密接に結びつける特殊な感覚があるからでございます。この「心ありき」の感覚を、日本人は「道」と名付けております。柔道、剣道、合気道、そして華道、茶道、すべて、「まず心(精神)ありき」なのでございます。

外国人と日本人の大きな違いは、こんなところでしょうかねぇ。さて、朝青龍に当てはめてみましょうか。まず、朝青龍の数々の不祥事、その度に朝青龍は注意を受けてきたわけでございますが、日本人だと「注意を受けて恥ずかしい」と思うのが普通。ところが、朝青龍は何と考えたでしょうねぇ。「そんなルールが有るのなら、最初に説明しておけよ」と思ったでしょうか。あるいは、「ただ個性を主張しているだけなのに、どうして俺ばかり怒られる」と思ったかも知れません。これは“契約主義”の外国人を使う上で、あらかじめ細かくルールを取り決めておかない日本側の体質にも、問題がございます。「常識で考えろ」とか「空気を読んで」といった精神論を押しつける前に、外国人向けの細かいルールをあらかじめ取り決めるべきでございます。最近の家電製品の取扱説明書には、「こんな事はしていけません」という注意書きが山のように記載されているでしょ。そう、あのノリでございます。

そして、さんざん言われている「品格」の問題。朝青龍の記者会見でも「品格、品格と言われるけれど、土俵の上に上がれば鬼になる」と言っておりました。あ〜あ、やっぱり朝青龍、勘違いしている。たぶん「品格=優しさ」、つまり「品格を出せ」と言われて「優しくしろ」と解釈している。すると、勝負で勝つことと優しさが、朝青龍の心の中で矛盾してしまう。ということで、最後まで「品格」を理解できなかったようでございます。日本語で言う「品格」とは、「全てを尊重する心の寛大さ」でございます。自分の体を尊重し、自分の技、名前を尊重する。と同時に、対戦相手の体や技や名前も尊重する。すると、真剣に戦うのも「品格」でございますし、戦いが終わった後に手を差し出すのも「品格」、負けた時に当たり散らさないのも「品格」であれば、勝った時に相手の気持ちを思いやってガッツポーズをしないのも「品格」。品格という言葉には、その下地として「尊重する」という‘精神’が隠れているのでございます。日本側は「品格」という“言葉”を押しつけるだけで、その内容を全く説明できないでいる。ここに、「悲しい思い違いのすれ違い」が発生したのでございます。

(以後、2/5付の、この欄に続く)


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