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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2010-01-30 嵐を呼ぶ男なんて映画もありましたが...

先日、映画『アバター』に関する記述で、「CG画像は画面全体にピントが合っている」と書きましたが(1/20付の欄)、これは大きく間違っておりました。というのも、『アバター』をあらためてIMAXの映画館で見直してまいりました。この映画、フル3Dの場面でもちゃんとカメラの光学レンズのピントが合う範囲の効果(被写界深度)をシミュレーションしております。前回の映画館の方式では画面が暗かったので、頻繁に3D用の眼鏡を外すことになり、気がつかなかったようです。IMAXの明るい画面では3D用の眼鏡を外すようなこともなく、しっかりと確認出来たのでございます。

さて、同じく最近見た映画がございます。『オーシャンズ』でございます。今回は、この映画の確信のようなものをしっかり書いちゃいますので、まだ観ていないので予備知識を得たくないという方は、この先を読むのはご遠慮ください。

 
    ---------- Intermission ----------
 

ワタクシ、映画の嵐のシーンが大好きでございます。小さい頃に観た『ジャワの東』という映画に感化されたのでしょうか。その他にも『白い嵐』であるとか『パーフェクト・ストーム』なんて映画は大好きでございます。今回、この『オーシャンズ』を観に行ったのも、本物の嵐のシーンがあるからとのこと。もうね、ほんの数分の嵐のシーンのために、お魚のシーンをず〜と我慢して観ておりました。いや、失礼、お魚たちも面白かったですよ。で、その嵐のシーン、CGではない実写の迫力は、大変なものでございます。たった数分の映像を撮りためるために、なんと3年間も理想的な嵐を待ち続けたとのこと。もうね、すっかりその嵐のシーンで堪能させていただいたのでございます。『剣岳 点の記』の解説でも申し上げましたが、CGを使わないという大前提は、製作側と観客側とに、ある種の信頼関係を生み出すのでございます...と言いたいところでございますが、ところが、ところが、この信頼関係、映画の最後であっさりと裏切られるはめになるのでございます。

映画の中盤にとても残酷なシーンがございます。フカヒレ漁のシーンでございます。網で捕獲されたフカが船の上に引き上げられ、胸ビレ・背ビレ・尾ヒレ全てを無残にも切り取られ、また海に捨てられるのでございます。口をパクパクと動かすただの肉の塊にされたそのフカは、ゆっくりと海底に沈んでいき、動かなくなります。この一部始終の全てを、海中から上を見上げた「サカナ目線」で撮影しております。まるで漁の風景を盗撮しているかのような映像でございます。この何ともショッキングな映像を目の当たりにして、観客はこの映画のふたつ目のメッセージを受け取ることになるのでございます。ひとつ目のメッセージは大自然が自明的に持つ調和の力。そしてこのふたつ目は、その調和を乱すように働く人間の力でございます。

で、先ほど、製作側と観客側との信頼関係があっさり裏切られると申しましたが、それは、映画のいちばん最後に添えられた言葉に由来いたします。映画の最後には、「撮影に当たって魚を一切傷つけていません。一部の残酷なシーンは、映像的な処理によるものです」と添えられるのでございます。確かにパンフレットを見ると、フカヒレ漁のシーンはアニマトロニクス(精巧な動物型ロボット)を使用していると書いてございます。む〜ん、確かに最近の風潮を考えますと、あの残虐シーンを本物で撮影するというのは問題が残るでしょうねぇ。しかし、現に残虐なフカヒレ漁は密かに行われているわけで、映画は間違ったな情報を提供しているわけではないでしょう。でも、この映画のメッセージの重厚さは、かなり薄らいでいるような気がいたします。

『オーシャンズ』という映画、何も考えずにノンビリと映像を眺めていたいというのには、ピッタリでございます。種の絶滅に対するメッセージは込められておりますが、そういった理屈臭い映像は、最後の方の最小限にとどめられております。単純に自然の醍醐味を堪能出来る映画でございます。そして、すべての映像を通して、魚たちとの距離感が実に近い。魚に接近しての撮影には、相当な苦労があったはずでございます。また、音声も非常にクリアなのは、ワタクシ的に高得点なのでございます。若干、効果音的なものが入れられている部分もあるようですが、基本的に海の中の音をそのまま録音している。ノイズが入りやすい海中撮影で、クリアな音声を録音するというのにも、苦労が多かったはずでございます。

ということで、『オーシャンズ』という映画の感想でございました。『プラネットアース』とかお好きな方は、絶対楽しめる映画でございます。


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