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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2009-10-14 当店が看板を出さないのも、“味”を守るためでございます(キッパリ)

ワタクシは、常々、コーヒーにはラッキョウが似合うと思っておりました。コーヒーの苦みとラッキョウの酸味が、妙にマッチするような気がするのでございます(いやひょっとすると、ワタクシの場合、酸っぱいものなら何でもコーヒーとマッチするのかもしれません)。「コーヒーとタバコの組み合わせは最高」と言ったワタクシのニューハーフの友人もおります。ワタクシはタバコを吸いませんので、この組み合わせの妙は分かりかねるのでございますが、世の中に、コーヒーとタバコをこよなく愛する人が大勢いるということを見ても、この組み合わせは絶妙なのでございましょう。

さて、本日、そのコーヒーとの食べ合わせで、新しい発見があったのでございます。コーヒーとキンピラゴボウの組み合わせでございます。キンピラの控えめなピリピリ感の後、静かにコーヒーを流し込みまする。すると、まぁ、なんといぅことでしょう、ピリピリで敏感になった舌が、コーヒーの苦み・酸味などを何倍にも増幅するではありませんか。キンピラゴボウを少しかじり、コーヒーを流し込む。得(え)も言われぬ複雑かつ繊細な味わいを楽しめるのでございます。かつてシナモンコーヒーのシナモンをかじっちゃったことのあるワタクシとしては、スティック状のキンピラを添えた、キンピラコーヒーなるものを発明したいぐらいでございます。もちろん、シナモンコーヒーとは違い、キンピラコーヒーはスティックをかじりながら飲むのが、“通”なのでございます。

このキンピラゴボウとコーヒーの組み合わせは、ワタクシが本当においしいと思ったのでございますが、本日、食べ物がらみで苦々しいニュースがございました。何でも、フランスのタイヤメーカーが、日本の文化を利用して金儲けをしているというけしからんニュースでございます。そう、「ミシュラン大阪・京都」の発表でございます(発売は16日)。

このミシュランの関西版、ワタクシが気に入らないのは「載せるな」と返答している店も載せていることでございます。しかも言いぐさが、「ミシュランの基準を満たしているから載せる。掲載されたくなければ職業を変えろ」とのこと。バーロー、ミシュランの基準がどんだけのもんだよ。職業を変えろだと。どの口が言ってるんだ。勝手な基準で飲食店に評価を付けるのは結構。ただ、掲載を断ったお店を載せるのは言語道断。そのようなお店は、今までどこにも掲載されないことで、そのお店の伝統や味を守る努力をしてきたわけでございます。過去から蓄積された経過を考えずに、現時点のみを見て評価するのは、日本の文化を使い捨てにしているとしか思えないのでございます。

京都の舞妓(まいこ)さんを観光客向けのアトラクションだと思っている外人が結構いたりして、困っているそうでございます。きっと、ディズニーランドのぬいぐるみキャラクターのように見えるのでございましょう。その舞妓さんをオウチャク外国人からガードする役割の人も、京都の街にはいらっしゃるそうでございます。珍しいのは分かりますが、街を歩く舞妓さんはお仕事に行く途中。お仕事の邪魔をしちゃいけないのでございます。その舞妓さんと遊びたければ、それ相応の場所へ遊びに行き、お金を使って舞妓さんを呼ぶ、そういう“いにしえ”からの文化ともルールとも言えるものがあるのでございますが、外人の観光客にそこまで勉強してこいというのは無理。そこで結論、「勉強していないのなら、あえて踏み込まない謙虚さを持つべき」なのでございます。

ミシュランは、「守るために隠す」という日本の美学を、どこまで勉強し理解しているのでしょうか。せめて、掲載を拒否したお店は、明確な場所や店名を載せずに、読者が自分で探して見つけるようなヒントだけにとどめるべきではなかったでしょうかねぇ。そんな「不親切」なガイドブックがあってもいいと、思いますよ。もっとも、今回の本では、「一見さんお断り」のお店は掲載されていないそうでございます。たぶん、調査に入ることも出来なかったのでしょうが、「どうしてそんなお店が京都に多いのか」ということを考えたら、その「守るために隠す」という文化に少し近づけたかもしれないのにね。まぁ、ランク付けは結構でございます。客商売というのは、必ず何らかの批判・批評は受けざるを得ないのでございます。ただ、「謙虚さ」がほしかったですねぇ。


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