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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2009-09-08 “聖職”あつかいってのは、体のいい「現場おしつけ」でございます

いつぞや、『救命病棟24時』という番組について書きましたが、いよいよ、ごく普通の「人間成長ドラマ」および「ほがらか人情ドラマ」に成り下がったようでございます。まぁ、普通の娯楽ドラマとして気楽に楽しんでおります。

このドラマ、「医療崩壊」という大風呂敷なテーマをひっさげて始まったのですが、当初、くせ者・変わり者として登場した人物が、回を重ねるごとに、あっという間に角が取れ、“いい人”に変貌しております。典型的な人間成長ドラマ、あるいはコミュニティー成長ドラマといった体でございましょうか。

普通のほがらかドラマなら、この設定でぜんぜん問題ないのでございますが、こと“医療”をテーマにするドラマでは、この設定は非常に問題な気がするのでございます。なぜならば、「登場人物が変貌していくドラマは、医療の現場に携わる人に『修行が足りない』と言っているようなもの」だからでございます。

人間ってのは、30歳前後で人格や価値観が固まり、その後はよほどのことがない限り、変わったりしないと思うのでございます。たぶん実際の医療の現場にも、さまざまな考え方・価値観の人が従事していて、その折り合いを付けながら病院というシステムが稼働しているはずでございます。本来求められているのはそのシステムの変化であり、人間の変化ではございません。医療現場は“聖職”でもなければ、“修行の場”でもないのでございます。

このドラマと比較するのは酷でございますが、ついつい海外ドラマの『ER 緊急救命室』と比較したくなるのでございます。ご本家の『ER』では「登場人物の人格は成長しません」。もちろん、医療スタッフとしての技量は向上いたします。でも、各登場人物の人格や価値観が簡単にブレたりいたしません。その方がよりリアルでございますよね。多くの価値観が錯綜(さくそう)したまま、混沌と、『ER』はすでに10シーズン以上の長寿ドラマとなっております。

意見広告ならぬ「意見ドラマ」としての『救命病棟24時』を期待したのでございますが、昨今の不景気では、そのようなドラマの制作は難しいのでしょうかねぇ。まだシリーズの序盤を終えたところでございます。中盤、そして終盤に期待することにいたしましょう。最終回あたりで、ガツンとしたものを見せてくれるのでしょうか?


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