«前の日記(2009-08-01) 最新 次の日記(2009-08-03)» 編集

薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

2008|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2013|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2014|01|02|03|04|05|06|07|08|10|12|
2015|01|03|12|
2016|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2018|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2019|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2020|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2021|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2022|01|

2009-08-02 もはや女! でも世間の目はどうかな?

ある方から、すばらしい写真集を紹介していただきました。『月刊“熱帯魚”』という、雑誌とも書籍ともつかぬ、不思議な写真集でございます。この写真集のテーマはニューハーフ。カメラマンは蜷川実花さん。女流カメラマン的な美しい写真がいっぱいの写真集でございます。

この写真集の写真、非常に綺麗でございます。そして、あえてニューハーフっぽく撮影しておりません。ニューハーフを題材にして、“芸術的な”表現に徹しております。本来、イロモノ的要素の強いニューハーフは、このような芸術的な扱いを受けることは少ないのでございます。そういった意味でも、貴重な写真集でございます。

『シーメール白書』などのニューハーフ雑誌では、ニューハーフは“いかにもニューハーフっぽく”撮影されるものでございます。それは、そういった雑誌がアダルト雑誌という背景を持っているためで、芸術的であることよりも、読者のエロ心を刺激することを第一にしているからでございます。

ところが、ニューハーフ自身は、“女っぽく”撮影して欲しいという願望を持っております。しかし、ニューハーフを女っぽく撮影してしまうと、その雑誌はすでにニューハーフ雑誌ではなくなってしまうのでございます。男と女が見え隠れする中性的な画像であってこそ、ニューハーフ雑誌にはその存在意義があるのでございます。

ニューハーフを女っぽく撮影したこの『月刊“熱帯魚”』という写真集は、すでに「ニューハーフということ」をウリにしてはおりません。インタビュー記事などは、ニューハーフに絡めた取材がされておりますが、写真そのものは純粋に彼女たちの持つ美しさを追求しております。

普通は、このような「ニューハーフっぽさを前面に出さない写真集」というのは苦戦することが多いのでございますが、いかがなものでございましょう? 最近のニューハーフは、よりナチュラルな女っぽさに変わってきております。と同時に、ニューハーフを見る世間の目も、昔のようなオカマちゃんを見る目ではなくなってきております。このような写真集は、新しい流れへの布石になるのでしょうか?

『月刊“熱帯魚”』 (新潮社 ¥2,200)


«前の日記(2009-08-01) 最新 次の日記(2009-08-03)» 編集