店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
ある方から、すばらしい写真集を紹介していただきました。『月刊“熱帯魚”』という、雑誌とも書籍ともつかぬ、不思議な写真集でございます。この写真集のテーマはニューハーフ。カメラマンは蜷川実花さん。女流カメラマン的な美しい写真がいっぱいの写真集でございます。
この写真集の写真、非常に綺麗でございます。そして、あえてニューハーフっぽく撮影しておりません。ニューハーフを題材にして、“芸術的な”表現に徹しております。本来、イロモノ的要素の強いニューハーフは、このような芸術的な扱いを受けることは少ないのでございます。そういった意味でも、貴重な写真集でございます。
『シーメール白書』などのニューハーフ雑誌では、ニューハーフは“いかにもニューハーフっぽく”撮影されるものでございます。それは、そういった雑誌がアダルト雑誌という背景を持っているためで、芸術的であることよりも、読者のエロ心を刺激することを第一にしているからでございます。
ところが、ニューハーフ自身は、“女っぽく”撮影して欲しいという願望を持っております。しかし、ニューハーフを女っぽく撮影してしまうと、その雑誌はすでにニューハーフ雑誌ではなくなってしまうのでございます。男と女が見え隠れする中性的な画像であってこそ、ニューハーフ雑誌にはその存在意義があるのでございます。
ニューハーフを女っぽく撮影したこの『月刊“熱帯魚”』という写真集は、すでに「ニューハーフということ」をウリにしてはおりません。インタビュー記事などは、ニューハーフに絡めた取材がされておりますが、写真そのものは純粋に彼女たちの持つ美しさを追求しております。