店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
最初に申し上げますが、この映画は、全く予備知識なしで見に行くべきでございます。映画の広告文ぐらいは読んでも構いませんが、もし映画館でパンフレットを買ったら、映画を観る前にそのパンフレットを開いてはいけません。予備知識がなければないほど、この映画は楽しめます。
最初、この作品の原題を見たとき(あえて原題は記しません)、ちょっとドキっといたしました(邦題の『七つの贈り物』は、非常に意訳的に訳されております)。原題に使われている単語に、ある非常に恐ろしい訳を思い出してしまったのでございます。そして、その推測は、映画のストーリーが進むに従って、より確かなものへと変わってまいります。この映画の原題から、ある文豪を思い浮かべた方は、たぶんワタクシと同じようにドキッとするはずでございます。
そして、この映画はあまり説明的ではありません。小さなシーンのひとコマずつが、ラストシーンに向けて非常に重要なヒントになってまいります。ストーリーが進むにつれて、その小さなジグソーパズルのパーツが少しずつ組み上がり、ある程度組み上がってきた瞬間に、ラストシーンがはっきりと予想できるようになります。その瞬間からが、この映画の醍醐味でございます。その信じられないラストシーンに気がついたとき、恐怖と畏敬と感動の混じったような不思議な感覚がじわじわとわき上がってまいります。
ストーリーの進行につれて、その不思議な感覚は確実に濃度を増し、観客はブラックホールのようなラストシーンに吸い込まれていくのでございます。見るのは恐いけれどスクリーンから目を離すことが出来ない。そのような緊張感を持続したまま、たたみ込まれるようにラストシーンに引き込まれていきます。この少しずつ組み上がるパズルの謎解きと、それに伴う緊張感の連続、そしてラストシーンへと“落とされていく”感覚。もし映画でしか表現できないものがあるとすれば、まさしくこの映画は、そんな映画独特のおもしろさを具現した作品でございます。