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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2009-01-11 お餅を切るときの重たい感覚、いまだに覚えております

今日は「鏡開き」ということで、さっそくお店に飾っておりました鏡餅を「開いた」のでございます。本来、お持ちを「割る」という表現が適切なのでございますが、正月早々「割る」という表現はどんなものかということで、「開く」という後を使って「鏡開き」となったそうでございます。

ところが最近の鏡餅は、プラスチックの張りぼての中に個別包装された小さなお持ちがいっぱい入っているものが多いのでございます。張りぼての裏側のシールをペリペリペリと「開けて」、中の小餅を取り出すわけでございます。まさにその名前の通りの鏡開きになってしまったのでございます。個別包装からお餅を取り出しますと、堅くはあるけど歯でかじられる程度の半生の堅さ。技術の進歩はすごいのでございます。

ワタクシが子供のころの正月のお餅といえば、お米屋から届く座布団のような大きな板餅でございます。それと、段ボール一箱分のみかん。お餅は“出来たて”でまだ柔らかいですから、それを包丁で切り分けるのがワタクシの担当。その箱一杯のミカンと、これまた箱一杯のお餅を、年末から年始にかけて食べるのでございます。

最初はパクパク食べるのでございますが、正月休みが終わるころには飽きてまいります。そうしますと、母親が堅くなったお餅で「あられ」を作ってくれたりするのでございます。また、裸のお餅でございますから、カビが生えます。そうしますと、そのカビの部分を削り落として、食べたりいたします。子供心に気持ち悪かったのでございますが、焼いて焦げ目がついてしまえば普通のお餅でございます。そんなような工夫をいたしながら、親子二人で大量のお餅とミカンをたいらげたものでございました。

包装や防腐剤などが発達していなかった昔の食べ物は、よく腐ったりカビが生えたりしたものでございます。「食べるものは必ず腐る」という大前提があるはずですが、最近の食べ物は本当に腐りにくくなったのでございます。その腐りやすかった昔の食べ物の方が、食べ物と人間との距離感が近かったかもしれませんね。逆に、衛生的で保存のきく最近の食べ物は、まるで「宇宙食」のようでございます。便利ではございますが、食べ物への距離感は遠くなった気がいたします。


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