店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
『家畜人ヤプー』という小説がございます。SF小説なのでございますが、SM、スカトロといった猟奇的な色彩が濃い問題小説でございまして、著者名は「沼正三」となっておりましたが、長らくその作者の正体は謎のままでございました。裁判所の判事説なども有りましたが、ある時期、天野哲夫という小説家がこの『家畜人ヤプー』の作者だと名乗り出ております。そして、この作者に関して諸説入り乱れたまま、その天野哲夫氏もさる11月30日に亡くなっております。
この小説がその奇異な内容にも関わらず60年代〜70年代という保守的な時代を生き残れたのは、作者不詳という独特な事情のもとに作品が一人歩きしていたからではないでしょうか。あるいは、作者不詳という形であったからこそ、かくも奇抜な内容の小説を発表できたのかもしれません。ある作品が生き残るかどうかには、その時代背景や作者の社会的立場なども密接に関係する場合がございます。