店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
近場の大衆食堂で朝食を取るのが、ワタクシの日課なのでございます。この長年通っている食堂が実にいいかげん。まぁ、よく言えばファジー。ファジーゆえの奇抜さがあり、いろいろと楽しい体験をさせてもらえるのでございます。
で、冷や奴にかける醤油を取ろうとするのでございますが、いつものことながら、醤油とソースの瓶との判別が非常に難しい。もう何年洗っていないんだという位に瓶全体がベトベトになっていて、瓶の上に貼ってあるラベルもボロボロ。そのラベルに醤油とかソースとか書いてあったのでございましょうが、もほや300年前の埋蔵金の地図のようになっていて、判別不可能なのでございます。
結局、匂いをかいだり、少し手のひらにこぼして舐めてみて、確認するのでございます。が、ここでも油断はならないのでございます。お客が見て瓶の判別がつかないくらいでございますから、食堂のオバチャンも時々間違えるのでございます。確認もせずに醤油やソースを補充するのでございましょう。まれに、醤油ともソースともつかない不思議な調味料が入っていることがございます。しかし、たとえそんな時でも、「今日は変わったものが食べられて良かった」と思えることが、その食堂通いのツウのツウたるゆえんなのでございます。
さて、ワタクシは冷や奴を酢醤油で食べるのが常でございます。醤油の次にお酢の瓶を取ろうとするのでございますが、ツウはここでも油断しない。お酢の瓶のフタが長年の劣化で、その閉まりが渋くなっていることを知っているからでございます。フタの閉まりが渋いとどうなるか。オバチャン、フタを最後まで閉めません。あるいは、フタを中途半端に斜めに閉めたまま、気付かずにテーブルに置いてあったりいたします。
さあ、賢明な読者のみなさまは、もうお分かりですよね。そのフタの秘密を知らない初心者がそのお酢を使おうとすると、確実にこのお酢トラップに引っかかるのでございます。フタの小さな穴からチョロチョロと出るはずのお酢が、フタと瓶の隙間からジャバジャバと溢れこぼれるのでございます。ここでも怒らないのが、この食堂のツウってもんでございます。怒るよりも、いかにそのお酢の瓶を上手に扱うかというテクニックを楽しむのが、ツウなのでございます。