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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2021-05-18 【マリさんを弁護しますよ!】

新しい朝ドラ、始まりましたね。『おかえりモネ』。NHKお気に入りの女優「清原果耶」の主演でございます。全くワタクシの個人的な印象ではございますが、「事務所のゴリ押し・世論操作で強引に朝ドラ主役にまで持ち上げられた」という印象が否めない。時期尚早な大抜擢が、かえって彼女の女優生命を縮めなければ良いけれど、と思っております。で、今日のお話は、その『おかえりモネ』に出演している夏木マリさんのお話でございます。

ワタクシの敬愛する、夏木マリさん。ドラマのキャストに名前を連ねているのを、大変嬉しく思っております。主人公にかなり近い役どころですので、きっと出番も多いことでしょう。朝ドラは、『カーネーション』で主役の晩年期を演じて以来ですよね。その『カーネーション』での起用は、まぁ賛否両論ございました。今日は、その「否」に対して、ワタクシが敬愛する夏木マリさんを弁護するのでございます。

2011年に放送された『カーネーション』は、大阪岸和田が舞台。ガッチガチの関西弁のドラマでございます。中盤の主役を務めた「尾野真千子」さんは奈良の出身。関西弁はお手の物。ドラマ内の関西弁に関しては、全く違和感が無かったはずでございます。そんな事もございまして、『カーネーション』の放送は大変な人気を博すわけでございます。その放送中に、主役の晩年期を「夏木マリ」さんが演じるという唐突な報道がなされたのでございます。

朝ドラ『カーネーション』は、番組の中盤で、突如、晩年の主役のキャストが交代になるというハプニング。そして、尾野真千子さんが、これまた強烈なキャラクターを演じておりましたので、それを引き継いだ夏木マリさんの主役、どうしても尾野真千子が作り上げた主役像と比較されることになる。その比較において、賛否両論が巻き起こったという訳でございます。

ここでワタクシは、音声学的に、夏木マリさんを弁護いたしますよ。夏木マリさんは、チャキチャキの江戸っ子。関東の言葉は、「無声音が多い」という特徴がございます。「く」「つ」「ち」「し」という音が、声を発しない「息だけの音(無声音)」になりやすいのでございます。これが江戸弁独特の威勢の良い話し方になりますし、関西の人が聞くと「怒られているみたい」と感じる原因でもございます。

で逆に、関西の言葉は「無声音が全くない」のですよ。先ほどの「く」とか「ち」なんてのもちゃんと声を出して発音する。文字で書くと「くぅ」「ちぃ」といった感じの発音でしょうか。これが、関西弁独特のまぁるい仁鶴がじゃなかった、まぁるい音の感触になるのでございます。この東と西の違いを考えると、何となく「否」の原因が分かってきますよね。

『カーネーション』で夏木マリさんは、関西弁のセリフを関東風の無声音の多い発声で喋っておりました。これは、関西人が聞けば絶対に違和感が有る。関西人でなくても、ちょっと違和感が有る。ここに、賛否両論が巻き起こったという理由のひとつがあると、ワタクシ、睨んでおります。ドラマですから、関西弁指導のスタッフがいたはず。それでもなぜ、そういう事になったのか? その経緯を、いくつか想像してみるのでございます。

  1. 指導者もマリさんも、気づかなかった。
  2. 指導者は気づいていたが、大女優マリさんに言えなかった。
  3. 指導したが、マリさんが出来なかった。
  4. 直そうと思えば直せたが、あえて無声音でやった。

1と2は、無いでしょう。プロの現場でございますからね。3と4が微妙ですが、ワタクシは以下の様に推測するのでございます。スタッフは発声に関して、マリさんに助言。マリさんも助言に従い、関西弁っぽく喋ろうとする。ところが、発声に気を取られていると、今度は演技に支障が出る。時間は無い。マリさんご自身の思い通りの演技を貫くために、あえて発声の不自然さには目をつぶった、と考えております。

主役ですからねぇ、膨大な量のセリフがございます。そして、急な起用ということで、多分、すぐにでも撮影に入らないと間に合わないという状態であったかも。撮影の途中で演技や発声が変わってしまうのも問題。首尾一貫している必要がございますので、最初に演技方針を決めてしまう必要もございます。そんなバタバタした中で演じられた、『カーネーション』の小原糸子晩年の姿ではなかったでしょうか。

というのが、『カーネーション』における、ワタクシの夏木マリ弁護でございます。中盤を演じた尾野真千子さんの演技が強烈でしたからねぇ。それを引き継ぐのは、並大抵のことではないですよ。まぁ、誰がやっても、賛否両論あったでしょうねぇ。最後までお付き合い、ありがとうございました。


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