店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
専門家会議の担当の方が記者会見をされておりましたよね。テレビでチラッと拝見いたしました。専門家の方々はもっと早い段階で声を大にして言いたかったのでしょうが、それが叶わなかったのでしょうね。今やっと、思いの丈を吐き出している感じでございました。
最近、「リスクコミュニケーション」という語が頻繁に用いられております。災害時などに、正確な情報をどの様に共有、そして意思疎通するかという方法論のことでございます。これがねぇ、日本では、リスクコミュニケーションよりも「忖度」の方が優先されちゃうので、困ったものでございます。
過去のお話になっちゃいますが、東北大震災の初日の深夜、日本中が福島第一原発に注目しているときでございました。非常に混乱している現場の中で、ある技術者が記者会見で「メルトダウン」なる語を、ブルブル震えながらチラッと発言したのでございます。すでに中性子が観測されていて、メルトダウンは明らか。その男性は不慣れな記者会見でたどたどしく状況を説明しておりました。
しかしその後、その男性は二度とテレビカメラの前に顔を出すことはなく、違う技術者が説明をするようになりました。担当を変えられたのでしょうね。「メルトダウン」という語が、政治的に非常に「不都合」だったのでしょう。結局、半年後に始まった事故調査の結果が出るまでは、関係者一同メルトダウンを否定し続けたのでございます。
もうね、中国で最初に新型肺炎の危険性を主張した医師が中国政府によって隠蔽されたというのを、日本は全く笑えないのでございます。こういうのを考えると、日本の医療の世界も政界との(癒着とまでは言わないけど)深い結びつきが有って、それで今回の様な非常時には、皆が奥歯に物が挟まったような物言いになる。あぁ、忖度、忖度、はぁどっこい!
ちょいと例え話になりますが、トヨタが生産ラインの不良率を下げようとして、生産ラインの全ての工員にラインを止める権限を与えたことがございます。普通は生産ラインを止めるというのは重罪。しかしあえて、少しでも不具合を見つけたら誰でもラインを止めても良いというシステムに変えたのでございます。
また違う例え話。航空機のコックピット内。かつて副操縦士が機長に楯突くというのは立場的に難しかった時代がございました。しかし、その人間関係のために副操縦士が機長のミスに気付いていながらも、みすみす起きてしまった航空機事故というのもございます。こういうのを受けて、今では2人のパイロットが適切に意見交換できるシステム作りが目指されております。
長くなっちゃいましたね。何が言いたいかと申しますと、危機管理では、忖度なしで自由に意見を発言できるシステムが重要でございます。同時に重要なのが、その意見を言った人がなんらベナルティを受けないという担保も必要。ペナルティを恐れて皆が口ごもるよりも、玉石混交の内容でもいいから意見交換を深め、議論を煮詰めて行くことの方が重要なのでございます。