店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
愛知県知事選、早起きして行ってきましたよ。まあ、あんまり気が乗らなかったですけどね。この選挙、な~んにもワクワクしない。おそらく、開票開始の20時ちょうどに「当選確実」が出るパターン。案の定、大河ドラマが始まった瞬間に、当選確実のテロップでございました。
泡沫候補(ほうまつこうほ)なんて言葉がございます。当選の見込みがほとんど無く、泡のように消えていくだろうと選挙前から思われている候補者のことでございます。この「泡沫」という同じ漢字、「泡沫(うたかた)」と読むことも出来るのでございます。鴨長明の『方丈記』の冒頭が有名でございますね。
行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、 またかくの如し。
「川の流れは絶えることなく、同じ水はひとつもない。よどみに浮かぶ泡も、消えたり、二つの泡が合わさって大きくなったりするも、長く留まっているものはひとつもない。世の中の人や家もこれと同じ、常なるものはひとつもない」、なんてぇ意味でございます。日本中世文学の無常観を表した、代表作品でございます。
泡を英語で言うと「Bubble(バブル)」。かつての好景気に「バブル景気」と名づけられているのは有名なお話。泡のように弾けて消えた景気とは、実に良いネーミングでございます。唯一無二の好景気と受け止められておりますが、鴨長明に言わせれば、「かつ消えかつ結びて」で、また現れるはずなんですけどねぇ。
昭和の名歌手が、「川の流れのように、この身をまかせていたい」と歌い上げました。そして、昭和の終わりとともに、泡が弾けるように、その名歌手も...しかしながら歌謡界には次々と新人が表れ、新しい音楽が怒濤のように流れ続けております。これもまた、無常なり。
マイクロバブルという技術がございます。直径1/1000mmという非常に微細な泡の技術で、殺菌などに使われております。これほど泡が小さくなると、泡が弾けたり、泡どうしがくっついたりということがほとんど起きないそうでございます。「かつ消えかつ結びて」と書いた鴨長明も、お墓の中でビックリしていることでございましょう。