«前の日記(2018-03-09) 最新 次の日記(2018-03-11)» 編集

薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

2008|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2013|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2014|01|02|03|04|05|06|07|08|10|12|
2015|01|03|12|
2016|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2018|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2019|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2020|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2021|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2022|01|

2018-03-10 【功利と代償】

3・11が近いという事で、テレビなども震災関係の番組が多いのでございます。ワタクシ、毎年この時期に放送される震災がらみの番組が嫌いで、ほとんど見ないようにしております。人間ドラマに固執する番組が多いからでございます。

ワタクシとしては、当時の行政の対応、電力会社の備え、原発に関わる様々な人達の事情、そういった「世の中の仕組み」に関わることを客観的に検証してもらいたいのですけどね。時間が経過したから言えること、時間が経過したから変わってしまったこと、そういう事も有るものでございます。

都市部では、あっという間にビルが建て代わったりいたします。久しぶりに裏道を歩くと、真新しい見知らぬビルに出会い、驚かされることもままございます。都市部の建て代わりの速さを見るに、仮設住居から出られるのに6~7年かかるという現状が、どうしても不可解でなりません。

ワタクシ、これまでに同じ事を何度も書きましたが、

「(福島第一原子力発電所の)ディーゼル発電機の場所がもう十数メートル高い場所に有ったら、震災後の日本は、180度違っていた」

のでございます。メルトダウンする事は無く、日本の原発の信頼度は世界一に輝いたことでしょう。当然、日本は原発をさらに推進し、海外への原発輸出も増えたでしょう。日本の家電メーカーはより信頼度を増し、東芝の原発事業だって、主導権を失うことは無かったはずでございます。

汚染を理由に、日本の農産物が輸出できない時期がございました。それだって、逆に、あの爆発さえなければ、世界中から同情を得て大幅に輸出量が増えた可能性もございます。慌てて日本から脱出した外国人も無く、逆に日本への観光客が劇的に増えたかもしれません。

脱原発で世論が固まっている昨今、「原発推進なんて流れ、起きるはずが無い」と思われますか? でも、あの震災で、福島第二原発や宮城県の女川(おながわ)原発は、大津波の直撃を受けながらも安全に停止させているのですよ。もし、福島第一も同様に停止させられていたら、もちろん爆発はなく、原発周辺の避難騒ぎ、放射能汚染・除染騒動も無かったのでございます。

現在の脱原発への流れは、「あの爆発を見てしまったから」ですよね。「知らぬが仏」なんて言いますが、人間というもの、知ってしまった事に大きく左右されるのでございます。知らないまま原発推進が進んだ未来、知ったために脱原発に走った未来、どちらが良いとか悪いとかは申しません。

アメリカのスペースシャトルは、数度の大事故を経験しております。しかし、その事故の直後、すべての宇宙飛行士が、「事故に関係なく、宇宙へ行くことを強く希望する」とNASAに進言しているそうでございます。「危険なのは折り込み済み」と宇宙飛行士は考えているのでしょう。

JR福知山線の大事故が起きた際、鉄道会社の不備を非難する声は多く出ましたが、「そんな危険な路線、廃止してしまえ」という声は出ませんでした。そりゃ当然ですよね。「ルールさえ守れば安全」ということをみんな知ってますからね。

では、こんな例は? 公園の遊具、子供が怪我をすると、「その遊具は危険だから撤去してしまえ」という声が上がり、その公園だけでなく、日本中の公園から同じ遊具が消えていくという例。これはどうして起きるのでしょうか? お役所の”事なかれ主義”の現れなのでしょうか?

「事故が起きたから危険」という考え方、「事故が起きたから今後はより安全になるだろう」という考え方、どう考えるかはその時・その人の状況次第でございます。自分の野望とか、生活の利便とか、お仕事上の都合とかが関係したりいたします。

日本全国の電気の供給能力が、原発に頼っていた震災前よりも増えたそうでございます。原発停止で減った量を、火力・風力・太陽エネルギーで補填してきた結果でございます。こうなると、「ほら、やっぱり、原発なんていらなかったじゃん」という話になってしまいます。

しかし、その電力供給量を確保するために、海外から天然ガスを購入したりとかいろいろ「代償」を払っているはずでございます。日本が脱原発という道を選んだ限り、それに伴う代償も甘んじて受けるというのは仕方が無いこと。しかし、その代償に関する報道がついつい小声になるのが、日本のマスコミの悪いところでございます。

日本のテレビは人間ドラマに固執せず、今後の日本の選択肢、それに伴う功利と代償、それを客観的に示して頂きたいと思っております。7年経った今だから、言えること、言わなければいけないこと、あると思いますよ。長くなったのでこのへんにしときますね。では、では。


«前の日記(2018-03-09) 最新 次の日記(2018-03-11)» 編集