店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
ちょいと興味深いニュースを見つけたので、ご紹介いたします。タイム誌によりますと、カナダのブリティッシュコロンビア州で、新生児に性別を付けないという事案が有ったそうでございます。何でも自分の性別を将来自分で決められるようにと、出生届には男で女でもない「U」という記号が書かれているそうでございます。
で、この話、マイノリティ尊重の行きすぎだと思うのでございます。性別、必要でしょ。世の中のほとんどの施設は、男用と女用に別れております。思春期までどっちつかずって、本人も困るでしょ。なんかね、変にマイノリティを尊重したつもりで、自分の子供を不幸にしている気がするのですけどね。
ワタクシは本名が「芳美」でございます。この名前、男でも女でも使う名前なのですが、一般的には女性の名前というイメージが強いようでございます。で、ワタクシ、すでに幼少期から女の子っぽい出で立ちでしたので、女の子に間違えられることしばしば。
小学校では、名簿順が女の子の中に組み込まれていたり(当時は、男女別々の順列でした)。名前だけ見て、誰かが勝手に分類しちゃったのでしょう。名前を呼ばれて「はい」と返事をすると、先生に「え?」という顔をされることもしばしば。ニューハーフになってからは実に好都合な名前でございますが、子供のときには複雑な心境になる体験を数多くしたのでございます。
心の性と体の性の不一致、これが起きるとマイノリティの方へ分類されちゃうわけでございます。ここで、ニューハーフとしてのワタクシの実感ですが、「先天性の性の不一致」というのは非常に少ないのでございます。つまり”本当の”性同一性障害でございますね。性同一性障害というのは「生まれつき」の場合のみに適合するのでございます。
世の中に溢れかえるほとんどの性の不一致は、「後天性」でございます。今までに無数のニューハーフ、ゲイ、レズ、トランセクシャルの方々を見てきた上での、確信でございます。また、ゲイやレズの方々は、たとえ心と体の性の不一致が有ったとしても、必ずしも性転換願望に結びつくわけではございません。自分の体の性を受け入れた上で、上手に世の中に居場所を見つけているのでございます。
生まれつき心と体の性が不一致である例は、割合的には非常に少ないのでございます。にも関わらず、生まれたときからそれを心配して性別欄を特殊な状態にしておくのは、実にナンセンス。ワタクシが小学校で複雑な心境になったように、自分の子供に奇異な人生を歩ませること必至なのでございます。
そしてさらに、先天性・後天性含めまして、心と体の性の不一致というのは、世の中に非常に多くございます。しかし、その人達すべてが性適合手術を望んでいるわけでもございませんし、自分のありのままの姿で社会に溶け込んで普通の生活を送れている方々も大勢ございます。
一方、心と体の性の不一致で、非常に苦労の多い辛い人生を送る人もございます。この違いは何なのでしょう? ひとえにこれは、「自分の中の拘りの強さ」と「社会適応能力」に因るのでございます。自分の中の不一致に強い拘りを持ち過ぎ、かつ、社会への適応能力が低いと、人生はどんどん袋小路に入っていくのでございます。
ここで、ひとつの結論がございます。心と体の性の不一致になるのはよくある事。ただ、「自分は「女(男)でなければ生きられない」という拘りが強すぎると、人生の可能性の幅を思いっきり狭くしてしまう。「世の中に、完全な男も、完全な女もいないのだ」と割り切って、現状の自分をいかに社会に適応させていくかと考える人には、人生の可能性は大きく開くのでございます。