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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2017-06-12 【身の丈180m、銀色の渋いヤツ】

新人が入りますと、その新人さんの名前のはんこを新調いたします。その用事もありまして、今日の午前中は、東急ハンズへ行っておりました。名前が既成のもので見つかれば、そのまま買って帰るだけ。なければ、発注して数週間待つことになるのでございます。

時間に十分余裕がございましたし、天候も実に朗らか、徒歩でノンビリ久屋大通まで往復。目的地に近づいて来ますと、近接したテレビ塔の凛々しきお姿が目に入ってくるのでございます。

一時期は解体論まで出ましたが、なんとか存命しております。ただね、はやり、テレビ塔の肩口のあたりが寂しい。昔に比べるとなで肩になってしまっているのでございます。

なで肩になったのは、でレビ電波のデジタル移行が契機でございます。かつてのテレビ塔には、その肩口あたりに各局のアンテナがひしめいておりました。特に目立っていたのは、側面の4方向に張り出していた縦長のアンテナ。あのアンテナがちょっとした”いかり肩”風に見えておりまして、凜々しさに一層拍車をかけておりました。

テレビ塔が存命したのは、大変嬉しかったのでございます。しかし、アンテナが外されて妙になで肩になったその姿には、当時、ガッカリしたものでございます。それで、ふと気になって、兄弟分の札幌テレビ塔を確認いたしました。

設計者が同じということで、かなり似ている兄と弟。お腹にデジタル時計を巻き付けられてしまった弟分は、ちょいと不格好な姿になっております(失礼)。最初から無かったのか、弟分の肩まわりはスッキリとしております。

そこで、テレビ塔に関していろいろ調べておりましたら、アンテナを取り外した頃のニュース記事が見つかったのでございます。そこにはなんと! 衝撃的な言葉が! 「アンテナを取り外されて、テレビ塔は建設当時の姿に戻った」とあるではございませんか!

そう、ワタクシが「凛々しい」とカッコ良く思っていたテレビ塔のお姿は、仮のまやかしのお姿だったのでございます。アンテナが取り外され、なで肩になった今のお姿こそが、生まれたままの真のお姿。建設当時の写真を探しますと、まさに今のお姿にうり二つ。

テレビ塔様は、長年、重荷を背負って責務を果たし、今、やっと解放されて、その余生を過ごしていらっしゃるのでございます。そんなテレビ塔様に、いかり肩の昔の方がカッコ良かったなど、ワタクシは何という暴言を吐いたのでございましょう。

あぁ、テレビ塔様、あのアンテナ、重かったでございましょう。辛かったでございましょう。太いケーブルを体中に張りめぐらされ、さぞや息苦しかったことでしょう。そのアンテナも、ケーブルも、今はございません。どうか、肩の力を抜いて、ノンビリと名古屋の街並みを見下ろしていて下さいませ。

いやぁ、いかん、いかん、ついつい、感情的になってしまいました。名古屋のテレビ塔は、遠景で見たときの美しさもございますが、その直下に行くと、ある奇妙な構造に驚かされるのでございます。塔の最下部、鉄骨で組まれた4本の足の陰に、コンクリート製の巨大なアーチが組まれているのでございます。

「なぜ、わざわざコンクリート製の構造物を?」と思われるでしょう。実は、名古屋のテレビ塔の下には、地下鉄が通っております。というか、地下鉄の予定がある場所にテレビ塔を建設したというのが順番的には正解。

そこで、また新たなる衝撃の事実が! 実は、あのテレビ塔、「ほとんど地面に置いてあるだけ」なのでございます。普通は地下何十メートルも掘り下げて基礎を作りますが、地下鉄予定地ということで、掘り下げられたのはたった6m。身長180mのテレビ塔様にとっては、ちょっとつま先が地面にめり込んでいる程度なのでございます。

そこで、4本の足がクパァと開いていかない様に、巨大なコンクリート製のアーチで補強しているのでございます。また、コンクリートの重量が塔全体の重心を下げる効果も担っております。子供の頃はそのコンクリートが邪魔で不思議に思えておりましたが、理由が分かると、納得なのでございます。

その後、直下に地下鉄を通す、地下街を作ると、名古屋人、ムチャやるなぁ~。そんな工事の度に、テレビ塔様の沈下や傾きを精細にモニターし、本当に少しずつ、腫れ物に触る様に工事を進めていったそうでございます。工事の人、アッパレ!

なんか今日は、テレビ塔談義になってしまいましたね。軽く書き始めたら、結構な長文になってしまいました。最期までお付き合い、ありがとうございます。では、では。


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