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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2016-12-29 【今はネット過渡期、人間様が慣れるにはもう少しかかる】

SMAPの件では、様々な噂が飛び交っていますよねぇ。もうなにを信じていいか分からないので、SMAPの件に関しては、迂闊には何も話せないのでございます。これというのも、今、世の中が、「ポスト真実(Post-Truth)の世の中になってしまっているからでございます。

 「嘘も百回言えば本当になる」なんて申しますが、「ポスト真実」ってのもそれに近い。「何が真実か」ではなく、「納得できる気持ちの良いウソに、大勢が吸い寄せられる現象」なのでございます。むしろ、今はネット、特にソーシャルネットワークが有りますので、百回も言わなくても、まことしやかに適所に情報を流すだけで、怒濤のごとく世界中に拡散していくのでございます。

 テレビや新聞の報道と、ネットの根本的な違いは、伝達の間に人間が介在していること。つまり、ネットとは巨大な伝言ゲームなのでございます。だから、情報が伝えられて行くに従い、介在した人の同調や共感が盛り込まれ、どんどん肥大し加速して伝わっていく。情報発信者は「きっかけ」だけ与えれば、あとはネットで勝手に増殖してくれるのでございます。

 この同調や共感というのが恐い。「あ、私も、そう思う」という声が重なり合ううちに、元の情報が真実かどうかの検証もされずに、大勢が同意しているというだけで「真実」のレッテルが貼られてしまう。これが「ポスト真実」が出来上がる仕組みでございます。

 人類は、まだネットを使いこなせておりません。特にソーシャルネットワークが生まれた後は、その影響力のあまりの大きさを制御しきれず、ネットの拡散性に振り回されている状態でございます。このポスト真実の時代を受けて、ネットの使い方も変わり始めております。

 ネット黎明期は、「いかにネットを上手に利用するか」が重要、ネット中世期に入りますと、「あふれる情報から、何を捨てるか」がポイントに。ここまでは、ネットの使い方がまだ受け身でございました。そしてポスト真実の時代に入りますと、「ネットにどんな『もっともらしい』ウソを流すか」というのがキモになってくるのでございます。こうなると、もはや受け身の使い方ではない。ネットの使い方が能動的になってきているのでございます。

 かつては、情報の流れというのは、テレビや新聞の報道による一方通行でございました。しかし、今や、各個人が情報を発信することが出来、そして、ちょっとした情報操作で世の中に大きな影響力を与えることが出来るようになってしまいました。震災時に「ライオンが逃げた」というデマが流されたことを、思い出してくださいませ。あのような騒ぎを、今は簡単に個人で起こせるのでございます。

 ネットを信じ、ネットを利用する時代から、「ネットを疑う時代」の転換期に来ているような気がいたします。まとめサイトの問題などもありましたしね。来年からは、ネットで情報を発信する側も、それを受け取る側も、何かしらの「気構え」を持つようになると思いますよ。その気構えが当たり前になる頃には、ポスト真実なんて風潮は、廃れるような気がいたします。

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