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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2014-06-17 【理想的な利己主義】

ワールドカップが始まっております。相変わらず日本人っていうのは利他性を振りまいておりまして、観戦後にスタジアムのゴミ拾いをする日本人サポーターの姿が、各国でニュースになったりしております。以前、韓国の国民性を「極端な利己性」と申しましたが、一方、日本の国民性は「極端な利他性」と言わざるを得ないのでございます。利己と利他、両極端な国民性のふたつの国が、海を挟んで隣り合っているのでございますから、そりゃうまくいかないのも当たり前かななんて思うのでございます。

その日本人の利他性でございますが、どうも日本では、「利他は美徳、利己は悪徳」という観念が強すぎるのでございます。これが大きな間違い。経済学なんかでも、利他性の人と利己性の人がある程度のバランスで世の中に交じっていることを想定して、考えられているのでございます。逆に言いますと、清く正しい経済の発展のためには、利他性と利己性がバランスよく存在しているべきなのでございます。よく会社などで利己主義の新入社員がいたりしますと、「君はマイペースすぎるよ」なんて上司から注意されたりするのでしょうが、そのマイペースな人材、日本の清く正しい経済発展には、ある意味、貴重な人材なのかも知れないのでございます。

日本では何かと肩身の狭い利己性ですが、「理想的な利己主義」を貫き通している人間がございます。漫画の中の登場人物なのでございます。『総務部 総務課 山口六平太』という漫画をご存じでしょうか。その漫画に出てくる「有馬係長」という人物、この人物が実に利己主義を絵に描いたような性格の人。それに対比して、題名の「山口六平太」という平社員が利他主義の塊のような人物。利己主義に振る舞う有馬係長は、何かと社内で風当たりが強かったりするのでございますが、でも、なかなかに憎めない人物でもあるのでございます。それはなぜかと申しますと...

さぁ、ここからが、この話題の真骨頂。この有馬係長、とにかく自分勝手に行動する。そして無責任。面倒くさいことは「わしはしらんけんね」と逃げてしまう。自分で間に合わないと分かれば、さっさと他人に丸投げしてしまう。その丸投げする相手は、その漫画の主人公「山口六平太」。ところが、その山口六平太、快くその丸投げを受け止め、問題を解決してしまう。実は、ここに、有馬係長と山口六平太との“信頼関係”を垣間見ることが出来るのでございます。

有馬係長も、山口六平太も、それぞれが自分の長所・短所を分かっていて、自分に出来ること・出来ないことも分かっている。自分を知り、相手を知ることで、自尊心を持ちつつ、相手へのリスペクトも忘れない。そういった相互理解の上で、係長から山口六平太への丸投げが行われる。一見、単に仕事を部下に押しつけているように見える丸投げでございますが、そこには、信頼関係で結ばれた絶妙なパスが行われていたのでございます。まるで、日本代表チームのパスワークサッカーの様でございます。

有馬係長が憎めないキャラクターなのも、「自分を知っている」からでございましょう。そして他へのリスペクトゆえに、たとえ丸投げでもそこには「思いやり」が存在している。「利他性・利己性」と「思いやり」の概念は、まったく別物なのでございます。「思いやりのある利己主義」というのも存在するのでございます。「利己主義は悪徳」と思いすぎる日本人の感覚では、ちょっと理解しがたいかも知れません。ポイントは「自分を知ること」。そして「他をリスペクトすること」。自分を愛し、他を愛する人の行動は、それが利他的であれ利己的であれ、愛すべき行動に変わりは無いのでございます。

というわけで、今日は「理想的な利己主義」のお話でございました。


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