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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2011-04-24 【この世にだって、天国も地獄もある】77.8kg

震災以降、ふだん購入しないような週刊誌まで購入したりしております。多くの雑誌が報道色の強い明示的な写真を多く載せる中、異色を放っている雑誌がございました。『AERA』の臨時増刊でございます。この雑誌の写真、実にカメラマンの思い入れが強く入っておりまして、不謹慎ではございますが「芸術的な美しさ」を狙っております。出版元の朝日新聞も、この雑誌を「写真集」と銘打っておりますので、確信犯的な雑誌なのでございましょう。この時期にこういったものを出すのは何かと物議を醸し出すのではないかと思ったりいたしますが、震災直後にガスマスクの写真を表紙に使った『AERA』ですので、AERAらしいって言えば“らしい”のでございます。

一例を紹介しますと、真っ平らになった瓦礫の街を、夜、高台から写した写真がございます。下方に見える道路を、数台の自動車がポツリポツリと走っております。そのヘッドライトやテールランプが、まるで廃墟の中に転がした宝石のようにも写っております・・・また別の写真では、瓦礫の中にまるで誰かが寝ているかのように布団が二組ほど敷かれております。薄暗いまわりの景色の中で、そのキャラクター柄の赤い布団だけが妙に浮き上がっております。もちろん、その布団の中に寝ているのは骸(むくろ)。見続けるのがつらい写真でございます。

この写真集を見て、ある書物を思い出しました。写真家・藤原新也さんの名著『メメント・モリ〜死を想え』でございます。「メメント・モリ」というのは、ラテン語で「自分が、いつか必ず死ぬことを忘れるな」という意味らしいです。この藤原新也さんの写真集にも、「死」や「生」が、数多くちりばめられております。人生を「生」だとすると、その「生」は「死」という儀式をもって完成するのでございます。「生」だけでも「死」だけでも人生は完結しない。「生」と「死」はワンセットなのでございます。「終わる」と考えると寂しいですよね。でも、「完結する」と考えればどうでしょう。

こんな時期ですから、深刻なお話しはこれくらいにしておきましょうか。ではでは...

↓最近買った雑誌の一部と、『メメント・モリ』


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