店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです
本日は、まず訂正から。先日、新聞各紙のページ数が少なくなった原因を「大手広告が載っていないから」と申しました。そういった原因も当然あるのでしょうが、どうやら、福島に「大王製紙」という製紙会社がございまして、そこが大打撃を受けたようでございます。その結果、新聞や雑誌などは急きょ代替品を調達することになりまして、ある期間、新聞が薄くなったようでございます。
さて、モータースポーツの最高峰、今シーズンのF1グランプリが始まりました。全てのF1マシンが、数億円とも言われるその広告スペースに日本を応援するステッカーを貼り、ヘルメットに応援メッセージをプリントしているドライバーも何人かおりました。いやぁ、以前からF1の組織は、日本人ドライバーや日本製エンジンに風当たりが強かったのですが、このような応援、嬉しいのでございます。けれど勝負は勝負、日本人ドライバーの小林可夢偉は8位という素晴らしい順位で終えるも、車両規定違反ということで失格となってしまったようでございます。
このように、日本を応援するメッセージは世界中から届いておりますが、その反面、なかなか収束しない原発の放射能には、各国が非常に敏感に反応しております。もっとも、日本国内にも風評被害のような過剰反応がないわけではないのですが、慌てて国外へ退去した多くの外国人の対応を見ておりますと、黙々とペットボトルを買いだめする日本人が、実に冷静に見えてまいります。
そういった日本人の行動を見ておりますと、日本人には放射能に対する「精神的な免疫」が、もともとある程度備わっているのではないかと思うのでございます。と書くと、誤解を受けそうですが、日本が体験したヒロシマ・ナガサキという事実ゆえに、日本人は小さなころから原爆・放射能といったものの話題が身近にあるような気がいたします。小説や舞台・漫画などにも多く取り上げられ、放射能というものがかなり正確に描かれていると思うのでございます。また、何十年も草木が生えないだろうと言われていた広島や長崎を見事に復興させたという経緯もございます。原爆投下から今日までの半世紀以上の年月、まるでキリストの十字架のごとく、日本は放射能・被曝といった問題を背中に背負ってきたのでございます。その長い日々が、日本人に冷静な目を持たせたのではないでしょうか。
一方、ハリウッド映画の原爆表現というと、ピカッと光って衝撃波が走り、全ての物質が蒸発してしまう、そんなステレオタイプの表現ばかりでございます。あるいは、インディージョーンズが冷蔵庫の中に隠れて核実験の熱を逃れたり、核シェルターで爆風さえ避ければ全て解決とか、あまり納得できない表現もございます。確かに、アメリカはスリーマイル島の事故を経験しておりますが、あの事故は放射性物質の漏洩はほとんど無く、一般住民への被害は皆無でございました。実感の持てる被曝経験が無いゆえに、放射能に対するイメージがより映画的に誇張されてしまうのかも知れません。
では、ヨーロッパはどうでしょうか? ヨーロッパ諸国はチェルノブイリの事故を実体験として生々しく記憶しております。それゆえに、放射能に関してはどこよりも研究され対策がなされているはずでございます。フランスなどは、原発に関しては大先進国でございます。ただ、唯一の被曝事故がそのチェルノブイリであったために、想定のMax値がかなり高めに設定されているようでございます。そういう意味では、欧米諸国も原発事故をステレオタイプでとらえているかも知れません。チェルノブイリは、その特殊な原子炉の構造などもあり、かなり希なケースで、福島の事故と同等には扱えないのでございますが、チェルノブイリのトラウマもあるでしょうし、過敏に反応するフランス人などを責められないのでございます。
欧米諸国は、「まず引く。そして安全を確かめながら近づく」という感覚のようでございます。アメリカの80km(50マイル)内の一斉退去も、原発事故では規模にかかわらず、アメリカ国内ではそのように決められているそうでございます。それに対し日本政府の対処は「まず最小限の範囲を設定し、必要であれば徐々に広げていく」という形を取っております。このやり方にはいろいろ意見が言われておりますし、諸外国との距離の違いから政府に対する不信感などもささやかれております。にも関わらず、日本人は政府の決定を粛々と受け止め、我慢強く冷静に行動しております。そんな日本人を見て、欧米諸国は「クール」を通り越して「クレイジー」なんて思っているかもしれません。しかし、ワタクシといたしましては、日本の政府は過敏になりすぎず、適切な範囲を避難地域と指定しているように感じられます。ただ、家畜やペットを残してきている人も多く、エサをやりに帰るぐらいは、認めて欲しいとは思ったのでございます。