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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2010-10-28 【八神純子さんも、このピアノの愛用者のようです】74.05kg

本日はですね、わが家のピアノの調律の日でございました。わが家のピアノはエレクトリックグランドというグランドピアノを二回りぐらい小さくしたものなのでございますが、ピアノの上も、ピアノの横も下も、日用雑貨やガラクタが散乱しております。調律師さんを迎えるべく、早起きして大掃除をしたのでございます。

このピアノを買ったのは、かれこれ27〜8年前でございます。電子ピアノやシンセサイザーも何台か持っておりましたが、結局手放してしまいました。けど、このピアノだけはどうしても手放せなくて、引っ越しの度に苦労して運んでおります。

30年近く使い込んでおりますと、生の楽器というのはドンドン味が出てくるものでございます。購入当初は音色も荒っぽく、雑音も多く、調律が狂うのも早かったものでございます。購入して4〜5年目に「鍵盤が滑る」という不具合がいくつか出ましたが、鍵盤の調整を何度か繰り返してもらうことでその不具合は解消しております。鍵盤やアクションに使われているのは生の木材でございますので、その購入後4〜5年目というのは、木材の乾燥が完了して落ち着く時期だったのかもしれません。

購入後、何十年もかけて完成度を増していくというのも気が長いお話しでございますが、最近のデジタル電子楽器は、生産時にすでに完成品でありまして、当然のことながら、何十年経っても音色の変化はございません。逆に、今から30年ほど前に発売された初期のデジタルシンセサイザーは、電源を入れれば今でも発売同時と全く同じ音色を発音するわけでございます。

デジタル技術を利用したものは、経年劣化しないという大きなメリットがございます。でもね、経年劣化しないということは、“経年成長”もしないということですよね。つまり、デジタル技術の台頭で、世の中には「変化しないもの」が溢れかえっているのでございます。「諸行無常、常なるものは無し」という無常観が、日本人の奥ゆかしさや「哀れ感」を形作ってきたのでございますが、生まれた時から「変化しないもの」に囲まれて成長してきた人たちには、そんな日本古来の風情が理解しがたいのではないかな、そんなことを思ってしまいました。

このピアノを手放せなかったのは、このピアノが自分と同じ年月を「成長してきた」からかもしれませんね。

↓調律風景&我が愛機 CP-80M


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