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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2009-06-20 こすり合わせれば摩擦が起きますよね。でも、さらにこすり続けると……

【職人気質】しょくにん・かたぎ
  職人社会に特有の気質。
  自分の技術に自信を持ち、頑固だが実直であるというような性質。

広辞苑をひもときますと、「職人気質」の項目にはこんなことが書いてございます。職人さんというのはこういった気むずかしい部分がございますので、何の職種であれ、職人さんにお仕事をしてもらうというのには、それなりの工夫やコツが必要だったりいたします。

当店でも補修や内装の変更のときなど、職人さんのそういった仕事ぶりを観察することが出来たりいたします。本格的に作りなおす工事だったりすると、大工、水道、左官、板金、電気、ペンキ、サッシ、建具、壁紙とまぁ、大勢の職人さんが出入りすることになるのでございます。もちろん「工程」というものがございますので、どの順番に職人さんを呼ぶかといったようなことは、総括する工務店が管理いたします。仲の悪い職人さんがいたりすると、その職人さん同士が会わないようにやりくりするとか、職人さんを使う工務店にもそれなりの苦労があるようでございます。

そうそう、オーケストラも似ているのでございます。やはり各楽団員はとっても職人気質なところがございまして、指揮者はその職人楽団員のプライドを傷つけないように上手にコントロールするという技量が、要求されたりいたします。また、各楽団員はそれぞれに自分なりの「こだわり」を持っております。その各人のこだわりを尊重しつつ、ときには説得し、全体をまとめ上げていくという技量も必要でございます。指揮者というのは、数十人の楽団員を指揮棒一本で命令に従わせるといった印象がございますが、実際には大勢の人間の調整役的な面も強かったりいたします。

職人さんというのは気が合ってくると、自分の工程をこなしながらも他人の工程が見えていて、それなりの気配りが出来たりいたします。それが高じますと、自己のこだわりの主張、他のこだわりへの協調、その両者のバランスを取りながらほどよい距離感で各職人が存在し、お互いが自分のプライドを守りつつ他人のプライドも尊重する、そんな気持ちの良い関係が形成されたりいたします。こうなりますと、その集団はもはや「チーム」であり、各人が高い技能を活用しつつ、かつ全体としてもハイレベルは仕事が期待できることになります。ようするに、自分のこだわりを見るミクロな目と、自分を全体の中から客観視するマクロな目、その両方ともが重要なのでございます。

さてさて、前置きが長くなりましたが、ニューハーフというのも、この職人気質な性質が大変強うございます。特に新人が入ってきた直後などは、既存のこだわりと新しい風との間との「すりあわせ」に、しばらく時間がかかったりいたします。お店の中も若干不安定になりますので、いつもより余計に注意深くなったりいたします。そもそも人間というものは、新しい価値観に触れると、どうしてもミクロの目ばかりが強くなるのでございます。そして、その新しい風に慣れるに従い、マクロの目とのバランスが取れてくるものでございます。「すりあわせ」とはよく言ったもので、こすり合わせれば合わせるほど、その両者の細かいデコボコがなくなっていき、シックリとかみ合うようになるのでございます。

お店の中も、上手い具合に「すり合って」いただきたいものでございますね。あっ、タイトルでエロい話を想像しちゃったかな? ゴメンネ。


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