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薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

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2008-10-26 揚げ足取りは相撲か柔道だけにしてね

ちょっと前の事件ですけど、救急車で運ばれた妊婦がタライ回しにされて、手遅れになり死亡するということがございました。ここ数年、こういった事件が時々あり、その度にマスコミなどは病院を叩きまくっておりました。が、しかし、今回はちょっと雰囲気が違うのでございます。

まず、病院がはっきりと、「研修医一人しかいない状態で...」と病院の現状をはっきりと表明しております。そして、その病院の現状を受けてのことなのか、すべてのマスコミが病院を叩いているわけではなく、むしろ医療現場の実情を切々と述べる番組などもございました。

この事件のさらに少し前、「大野病院事件無罪判決」のニュースは、まだ記憶に新しいところでございます。難しい出産を帝王切開で行ったものの、結果的に妊婦が死亡してしまい、その件で医療裁判になっていた事件でございます。あの事件が4年前のこと。そしてこの大野病院事件が契機かどうかは分かりませんが、この4年間で産科医の人手不足は、全国的に慢性化してきているのでございます。

ここに来て、多分マスコミは悟ったのでございましょう。「叩いてる場合じゃねぇ」と。「叩く」という行為には、「叩くことによってこう変わって欲しい」という目的・理想像がなくてはいけないのでございます。しかしながら最近のマスコミの叩き方は、単なる「揚げ足取り」。他人の揚げ足を取ってジャーナリズムを“気取っている”だけなのでございます。理想の裏打ちのない報道は、単なる“暴力”なのでございます。

いつのころからが、世の中全てが“叩き慣れ”している傾向がございます。何か不祥事があるとすぐに叩く。徹底的に叩く。叩いている相手が抹殺されるまで叩く。ネットでの誹謗中傷、モンスター○○と呼ばれる人たち、理想像を持たず、ただウップン晴らしをするだけの叩きの暴力が世の中には氾濫しております。

そのような暴力にたまりかねて、お医者さんはやる気を無くし、学校の先生は学習塾へ転職し、総理大臣の椅子は貧乏クジのように敬遠され、まだ決まってもいないWBCの監督の名誉を固辞する人が出てきたりする。賢明にやっても、もし失敗したら叩かれるだけ。そんな風潮の中で特殊な技術を持った人たちが、どんどん及び腰になっていっております。

このまま揚げ足取りの暴力は氾濫すると、世の中には特殊技術を持った人がいなくなってしまうのでございます。もうそろそろ、「叩きの文化」は収束させましょうよ。「木を見て森を見ず」と申しますが、ただ叩きやすいところを叩くようなマスコミは、ただの“弱い物いじめ”なのでございます。木の向こう側にある森に立ち向かってこそ、真のジャーナリズムではないでしょうかねぇ。


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